田原栄俊博士、田中純子博士、坂口剛正博士、大段秀樹教授、大毛宏喜教授が率いる広島大学の研究者たちは最近、自動サンプル前処理システムを導入しました。COVID-19 ウイルスの検査と分析において、サンプル前処理が大きなボトルネックとなっているからです。
日本の人口における SARS-CoV-2 の存在を調査するために、PCR 検査が頻繁に実施されています。サンプルの検査は、ラボ内の安全な感染封じ込めエリアで技術者が手動で行いますが、これは時間を要する工程で、高速化が求められていました。鼻咽頭ぬぐい液、唾液、血液など、感染力が高いサンプルの処理には、2 つの大きな問題が確認されていました。1 つは、臨床ラボ技術者への感染リスクです。もう 1 つは、手作業でサンプルから核酸を精製し PCR 検査を実施する際の、複雑な管理プロセスにおける精度の維持についてです。
研究者らはこれらの問題に対処するために、自動でチューブを持ち上げ、蓋を開閉し、唾液などのサンプルを収集してから検査チューブに移送するシステムを開発しました。この新しい手法では、ラボ技術者による手作業を必要とすることなく、プロセスを管理します。サンプル前処理が完了すると、Agilent Bravo 自動分注システムによって PCR 試薬が一斉に分注されます。検査を自動化したことにより、1 日あたり最大で 1080 サンプルを処理できるようになりました。
また、サンプルを管理しつつ、1 つのサンプルの前処理の速度を 1 分未満にできることも明らかとなりました。
ワクチン接種が加速化している日本において、COVID-19 の流行に対する関心は依然として高いままです。日本では、この夏に大規模な国際スポーツイベントが実施され、入国する多数のアスリートや関係者の高速検査の必要性に対する懸念が高まりました。必要とされる検査の量に対応するため、分析の自動化が不可欠の課題となりました。現在も広範な検査が必要であると、イベント主催者は述べています。
- 広島大学の科学者たちは研究開発における先駆者であり、すでに Agilent Bravo システムの自動化機能を採用していました。田原博士のチームは、人の健康と長寿を推進するため、主にテロメアとマイクロ RNA の治療的役割に注目し、老化と癌の研究を行っています。Agilent Bravo システムについて、田原博士は次のように述べています。「Bravo プラットフォームを使用することで、すべての手順でピペットの速度を制御できるため、細胞の損傷がなく、非常に安心して作業できます。」ケーススタディを読む 老化と癌の解明 AGILENT BRAVO プラットフォームによる、テロメアとマイクロ RNA の研究の促進
検体の前処理やプロセスの自動化など、COVID-19 検査のためのより優れた手法を、安全で管理された環境に導入することができるようになりました。広島大学の研究者たちは、局所的な機能のスケールアップを計画中で、それをグローバルに実用化していくことを検討しています。
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