今年は COVID-19 により、世界は思わぬ困難に直面することになりました。多くの管理者にとって予期せぬ変化への対応力を見直す機会となっています。現在も感染症の拡大は続き、いまだ先行きが見えない状況です。不測の事態に備えて私たちは何ができるでしょうか。
ラボの閉鎖準備は始まりです
4 月以降、アジレントは一連のウェビナーを開催し、ラボの閉鎖前に実施するべき機器の準備と保護、次に、機器の性能低下を最小限に抑え起動、および再稼働に必要な手順について基本的なことをお伝えしてきました。こうした作業はメンテナンスの基本要素です。
それでは、経済不安、現場作業員の削減、リモートワークの拡大など、現在の環境における機器以外の要素はどうでしょうか。ラボが今回のような困難に対して事前に準備し、適応するにはどうしたらよいでしょうか。Agilent CrossLab が支援させていただきます。
アジレントのワールドワイドカスタマーサービス部門の VP である Steve Cohan は次のように述べています。「Agilent CrossLab は、アジレントが分析ラボのために 50 年にわたり蓄積した専門知識を生かし、ラボの業績向上に貢献することを目的とした戦略的プログラムです。私たちは、『お客様とのあらゆるやり取りの中から見えない価値を引き出し、お客様が求める目に見える成果へ導くこと』を独自のブランドプロミスとして掲げています」
アジレントは CrossLab を通じてサービス内容を拡大し、ラボが新たな難題を乗り越えられるようコンサルティングサービスも提供しています。以下では、アジレントの 3 人のリーダーが、ラボ業務の中断を適切に備えるために Agilent CrossLab がどのように支援できるかご紹介します。
ラボ運用の効率化、最適化、変革
Agilent CrossLab エンタープライズサービス部門 VP 兼ジェネラルマネージャーである Marc Boreham は次のように説明しています。「複雑なラボの管理について考えるとき、進化の過程は主に 3 つの段階に分けられます。それは、効率化、最適化、変革です。これらの段階は現在の環境でもすぐに導入することができます。まず、ラボの所有物と使用状況を可視化することから効率化を進めます。使用状況を可視化し把握すれば、今後の計画が立てやすくなります。最適化とは、性能データとそこから得られる洞察に基づいてより的確な判断を下す能力と言えるでしょう。最適化には災害復旧計画も含まれます。3 番目の段階「変革」は、業績全体に現れた成果を見ることで実感することができるでしょう。不測の事態に備え、困難を克服する準備ができているラボなら、業界の中でも競合他社との差別化を図ることができるのです。」
まずは以下に示す 4 つの重点項目を検討し、ラボの準備態勢を整えていきましょう。
資産のライフサイクルの運用管理
最初に、ラボのあらゆる機器の状況をよく知ることが大切です。効率化できることはないか、非常事態に最も影響を受けやすいものは何か把握することができます。資産のライフサイクルの運用管理は、資産を追跡して現状を可視化し、財務状況を明確化するところから始まります。Agilent CrossLab アセットモニタリングは、CrossLab Connect グループのサービスの一環であり、ラボが資産状況をより鮮明に把握し、管理できるよう設計されています。
今後の見通しがつかない中、限られた予算の中で最新技術を取り入れ、運用するための柔軟な方法が強く求められています。アジレントは買い取りに代わる柔軟な利用法として、機器のファイナンスリースや短期間のレンタルなど、新しい入手オプションを多数ご用意しています。また、認定整備済機器をアジレントから直接ご購入いただくこともできます。お使いの機器が事業において製品ライフサイクルの衰退期にある場合、その多くは下取りに出し新機種をお求めいただくことができます。あるいは、Agilent CrossLab チームが環境上安全な方法でリサイクルをお手伝いします。
ラボのデジタル接続
アジレントサービスサポート部門 VP 兼ジェネラルマネージャーである Kristin Giffin は次のように述べています。「どこからでもラボ機器を最大限に活用できるよう、ラボ全体を接続することが重要です。不測の事態に備えるには最も有効なツールです。」
最近の機器には、自己診断、トラブルシューティング、最適なメンテナンスをサポートするスマートテクノロジーが搭載されています。CrossLab Smart Alerts のような新しいツールは、機器に消耗品が必要なときやトラブルが生じた際にアラートを送信します。ラボ全体を接続しておけば、ラボにいなくてもすべての機器のモニタリング、性能データへのアクセス、トラブルシューティングも可能になります。さらには、ラボのデータを用いて適切な判断や計画の基になるインサイト分析も実施できます。
また、デジタルツールを使えばリモートチームの生産性をできるだけ維持することもできます。「Agilent University が現在提供しているトレーニングコースは幅広く深い内容です」と Giffin は続けます。「対面での授業に代わるバーチャルインストラクタによるコースや数百ものオンラインオンデマンドコースを、あらゆるスキルレベルをサポートするガイド付きラーニングパスと併せてご利用いただけます。」
運用に関する専門知識
運用に関する専門知識を有する戦略的なラボパートナーは、不測の事態が起こっても、良き隣人のようにラボの運営を支え続けます。Marc Boreham は次のように話します。「この混乱の中、ラボマネージャからは平時にはしないような介入と事態に対処するためのスタッフ補充のご依頼をいただいています。」
アジレントはプログラムとプロジェクトの管理およびスタッフ増員によりラボをサポートし、ラボの人件費を増やすことなくチームの効率を大幅に向上させることができます。要件に応じて、プロジェクトまたはプログラムマネージャは複雑な作業、変更管理、または現行のラボ管理要件の詳細事項の管理をサポートします。チームがラボの運用に精通することで、混乱の最中でも柔軟に対応できるようになります。
Agilent CrossLab は、ラボ全体のリソースを管理し、オンサイトスタッフ削減に伴う管理上の負担を軽減するため、サプライヤやベンダーの管理を支援します。「私たちは今回のようなご依頼にも対応できる業界知識を備えています。時には、サービス品質を高めながらコスト削減に貢献することもあります」と Marc は語ります。
コンプライアンスの保証
カスタマーサービス部門 VP の Steve Cohan は次のように話します。「業務が中断したからといって、規制ガイドラインに準拠するための要件が免除されるわけではありません。Agilent Automated Compliance Engine は、この非常時にラボスタッフの注意が散漫になり、コンプライアンスプログラムがおろそかになることを防ぎます。
Agilent Automated Compliance Engine を利用すれば、ラボ全体で統一されたペーパーレスのコンプライアンス適格性評価プロセスが実現します。既存の IT ネットワークに組み込むことができ、データインテグリティの観点から大きな利点が得られます。Agilent CrossLab サービスのスタッフは機器適格性評価やコンピュータシステムバリデーションもサポートするため、ラボスタッフはより重要な業務に専念できます。
Agilent CrossLab サービスの詳細や、ご紹介したトピックについて個別のフォローアップをご希望の方は、www.agilent.com/crosslab/contactus にアクセスしてください。
人物紹介
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Steve Cohan、カスタマーサービス部門 VP 兼 GM。3,300 名以上を擁するフィールドサービスチームのリーダー。同チームは世界中で年間 100 万件以上のサービスコールに対応。
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Kristin Giffin、サービスサポート部門 VP 兼 GM。アジレントの機器サービスプラン、Agilent University、ワークフローコンサルティングなどの主要サービスの開発チームのリーダー。
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Marc Boreham、エンタープライズサービス部門 VP 兼 GM。マルチベンダーサービス、プログラムの管理、移設、アセットマネージメントなど、ラボ全体に及ぶ新しい運用サービスの開発チームのリーダー。