SARS の理解

COVID-19 に対する闘いにおいては、知識が力になります。治療法とワクチンを開発するには、SARS-CoV-2 コロナウイルスをよりよく理解することが不可欠です。一方で、ウイルスは変化するので、コロナウイルス科は極めて複雑です。

最初に確認されたのは 1960 年代のことですが、電子顕微鏡を使用していた科学者によって発見された球状のウイルスの表面が太陽のコロナに似たスパイク状だったことから、「コロナウイルス」という名前が付けられました。30,000 塩基の RNA ゲノムによって構成された直径約 125 nm のコロナウイルスは、まぎれもなく大型で、病原性が高いウイルスです。

長年にわたり、この科のウイルスによってさまざまな動物種が深刻な症状に陥り、死に至ることが知られていましたが、2003 年の SARS のアウトブレイクによって、その増え続けるリストに人間が初めて加わりました。現在、SARS-CoV-2 が世界的に猛威をふるう中、このウイルスによって死亡する可能性があることが明白に証明されています。

科学技術のかつてないほどの進歩を背景に、研究者によって構成されたグローバルチームは、総力をあげてこのウイルスの全容を解明し、ワクチンを開発し、治療法を速やかに確立することに取り組んでいます。これら 3 つの領域すべてにおいて、分析上の独自の課題があります。それを踏まえて、世界中のアジレント従業員は、その専門性を発揮して研究チームをサポートし、プロジェクトが迅速かつ効率的に進められるように支援しています。

SARS-CoV-2 の理解

SARS-CoV-2 の病原性の主な要因は、そのスパイク状の糖タンパク質にあります。この糖タンパク質は、人体の中にあるアンギオテンシン変換酵素(hACE2)受容体を使用して標的の細胞に結合および侵入するため、ワクチン、治療、および診断候補物質の標的として大きな注目を集めています。このスパイクタンパク質は高度にグリコシル化されており、多くの研究者によって、糖鎖が病原性の主要な役割を担っていると考えられています。治療法を開発するためには、個々の糖鎖の配置と特定も含めて、糖タンパク質を包括的に解明することが不可欠です。

SARS の理解

糖タンパク質をすべてのレベルで理解するために、科学者たちは液体クロマトグラフィーと質量分析法を以下の用途で使用できます。

アジレント内のチームは、現在、オックスフォード大学の Structural Genomics Consortium(SGC)と緊密に連携して、これらの手法をベースとした SARS-CoV-2 のスパイクタンパク質に関する堅牢性と信頼性の高い分析法の開発を支援しています。アジレントのチームは、分離技術、糖鎖分析、質量分析におけるその知見を生かして、スパイクタンパク質の科学的理解を深めるための LC/MS ベースのソリューションを開発し、さらなる研究に向けた糖タンパク質の製造を支援することに取り組んでいます。

詳細については、糖鎖分析とその他の重要な品質特性を参照してください。