電解液が電池性能におよぼす影響

最適な電池性能、安定性、安全性、およびサイクル寿命を実現するには、電解液のリチウム塩、有機溶媒、保護添加剤、および性能向上添加剤のバランスが適正であること、また電解液が適切に製造されていることが要求されます。つまり、このバランスと、原材料、前駆体混合物、および電解液配合物の純度を確認することが、重要な品質管理ステップとなります。電解液スラリーの成分のうち重量ベースで最大のコストを占めるリチウム塩の純度には、特に注意を払う必要があります。

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電解液のケミストリ

EV 車載電池の電解液では、リチウム塩としてヘキサフルオロリン酸リチウムが最も広く使用されています。リチウム塩は、有機リン酸エステルなど幅広い有機炭酸塩溶媒に溶解されます。これらの有機溶媒には、塩を効率よく溶解してイオン解離を促すという特徴があります。また、電解液の性能を高めるうえで、成膜添加剤や高温/低温添加剤など、多様な組成と機能を持つ添加剤が、含有量が低いものも含め重要な役割を担います。



電解液の組成

リチウムイオンセルでは、ジメチルカーボネート(DMC)やエチルメチルカーボネート(EMC)など、炭酸エステルを主成分とする炭酸ベースの電解液が広く使用されています。ところが、これらの溶媒は低電位で分解され、結果的にセル性能を低下させる可能性があります。この問題に対処するため、LIB の性能を効果的に高めることを目指して、フルオロエチレンカーボネート(FEC)やビニレンカーボネート(VC)などの添加剤が調査され、電解液で使用されています。



電解液の製造

電解液は水分や温度の影響を受けやすいことから、通常、セルへの電解液の充填は乾燥室において真空下で行われます。また、水の存在が電池の完全性や性能に深刻な影響をおよぼす可能性があるため、生産に関連する分解調査を効率よく実施して、生産の遅れを防がなければなりません。製品開発やプロセス改善に向けた詳細な調査が必要な場合は、特に迅速さが求められます。




試験/処理要件 推奨される分析法/機器
材料として用いる化学物質の同定および純度の確認 ICP-OES および ICP-MSFTIRGC/MSGC/FID
生産プロセス全般にわたる電解液中の不純物の定量と同定 ICP-OES および ICP-MSFTIRGC/MSGC/FIDLC
電解液の組成の確認 ICP-OES および ICP-MSFTIRGC/MSGC/FIDLC
電解液充填プロセスの実施 ロータリポンプ、ルーツポンプ、ドライスクロールポンプ
材料として用いる化学物質の同定および純度の確認 ICP-OES および ICP-MSFTIRGC/MSGC/FID

電解液の試験に関するアプリケーションリソース

FTIR によるリチウム電池電解液の成分の分析

リチウムイオン電池電解液の主な成分をすばやく正確に同定できれば、汚染された材料や間違ったラベルの材料が生産プロセスに入り込むリスクを防げます。

この 2 分間のビデオでは、Agilent Cary 630 FTIR を使用することで、リチウムイオン電池で広く使用されている塩や溶媒をいかにすばやく簡単に、かつ高い信頼性で同定できるかをご覧いただけます。このメソッドをグローブボックス内の水分が管理された環境で実行することで、分析の潜在的な危険を回避できます。

7850 ICP-MS による電解液の元素不純物分析

元素不純物は電解液の性能に影響をおよぼします。電解液および最終的な電池製品の一貫性と品質を確保するには、リチウム塩中の不純物を確実に検出する必要があります。

このアプリケーションノートでは、LiPF6、LiBF4、LiClO4、および LiFSl に含まれる多数の元素の定量方法を説明します。Agilent 7850 ICP-MS システムは高感度で柔軟性に優れたソリューションです。電解液の研究および製造プロセスにおいて品質の確認やトラブルシューティングに活用いただけます。


ICP-MS による電解液溶媒の元素不純物分析

リチウムイオン電池で使用される液体溶媒は、リチウムイオンの移動を促進する役割を担い、さまざまな混合物が組み合わされて注意深く配合・管理されています。元素不純物が存在すると、溶媒の性能に悪影響をおよぼす可能性があります。

このアプリケーションノートでは、Agilent 7900 ICP-MS 機器により、一般的に使用されている多数の電解液の特性解析をいかに効率的かつ高感度で行えるかをご確認いただけます。

マルチプラットフォームアプローチによる電解液の組成分析

補完的な分析により、電池の充電/放電ライフサイクルの最適化に役立つ情報が得られます。

このアプリケーションノートでは、GC/TQ、LC/Q-TOF MS、および ICP-MS 技術による電解液成分のプロファイリングについて取り上げています。複数の分析法を組み合わせたアプローチを用いることで、電池の QC、R&D、およびプロセストラブルシューティングの各チームがリチウムイオン電池の電解液を定量および特性解析し、電解液サンプルを分類・識別できることが実証されています。


ガスクロマトグラフィーによる電解液中の炭酸エステルおよび添加剤の分析

リチウムイオン電池電解液に配合されている炭酸エステルと添加剤は、エネルギー密度を高め、ライフサイクルを延ばし、電池の安全性を高めるうえで重要な役割を果たします。一方、その劣化は、全体的な電池性能と寿命を示す指標であり、それに寄与する要因にもなります。

このアプリケーションノートでは、電池の製造、R&D、およびリサイクルで Agilent 8860 GC システムを使用して、標準的な電解液中の炭酸種を特性解析および定量する方法をご覧いただけます。

GC/MSD による LIB 電解液中のカーボネート溶媒および添加剤の分析

Agilent 7890 GC および Agilent 5977 GC/MSD システムにより、LIB 電解液中のカーボネート溶媒および添加剤を分析できます。

このアプリケーションノートでは、優れた分離能と広い直線範囲を達成する使いやすいメソッドについて説明します。このメソッドはさまざまな成分に対して卓越した再現性と感度を発揮し、LIB 電解液中の有機溶媒、添加剤、不純物の定性・定量分析に最適なソリューションとなっています。


LC/MS によるリチウムイオン電池電解液の品質管理

LIB の効率と寿命は、カーボネート溶媒と塩から成る電解液の品質に左右されます。これらの成分は水分の影響を受けやすいことに加え、高温下で、また充電サイクルを何度も繰り返すことで分解します。

このアプリケーションノートでは、Agilent 1260 Infinity II ハイブリッドマルチサンプラと Agilent InfinityLab LC/MS iQ により成分と分解生成物を定量し、生産上の問題解決や電解液の品質確保に役立てる方法について説明します。

FTIR による電池の生産収量、性能、安定性の向上

EV 電池メーカーは、生産性の向上と製品の品質、性能、および安全性の強化の必要性に迫られています。こういった需要を満たすには、原料、加工材料、および最終生成物の厳格な QC が必要です。

このアプリケーションノートでは、Agilent 630 FTIR と MicroLab ソフトウェアはによる LiPF6塩の分解状態の評価について取り上げています。 カスタマイズされた結果の色分け表示と合格/不合格基準により、情報にもとづいてすばやく意思決定が行えるため、LIB の塩の QC 試験がシンプルになります。


電池への適切な充填に欠かせない真空技術

リチウムイオン電池に電解液を充填する際は、電解液をセル内に均一に分散させることがきわめて重要になります。分散が均一でないと、電極間を移動するリチウムイオンの動きが妨げられ、電池の効率と寿命の低下につながります。

電池への適切な充填を促進するには、電極表面を電解液で完全に覆い、リチウムイオンの流れを妨げる可能性のある閉じ込められた気泡を脱気によって除去する必要があります。

真空技術を用いた電池への均一な充填の実現方法をこのカタログでご覧いただけます。




リチウムイオン電池のバリューチェーンのどの段階でも、存在する元素やその量を把握することが重要になります。鉱物の抽出、電池の製造に元素分析を活用すれば、規制項目に適合し、電池のリサイクルにも役立てることができます。詳細はこちらでご覧いただけます。




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