重要ポイント

  • 認定整備済機器は、新しい機器の需要を削減するうえで重要な役割を果たします。ラボが、整備済機器または中古機器を選択することにより、新しいシステムの製造に使用されるはずだった天然資源の節約に貢献できます。
  • 手頃な価格の認定整備済機器および整備済機器の経済的なメリットは、コスト削減にとどまりません。限られた財源を他の持続可能性への取り組みに割り当てることができ、ラボの運用全体を改善することができます。
  • 買取りプログラム、整備、部品のリサイクルなどの取り組みは、資源の効率的な利用に貢献しています。この包括的なアプローチは、経済的および環境的コストを最小限に抑えながら、持続可能なイノベーションを実現するという目標に沿ったものです。

循環経済のアプローチ

ラボ機器メーカーやラボマネージャは、持続可能な科学研究を達成しようとするにあたり、循環経済の原則を取り入れることでエコロジカルフットプリントを大幅に削減することができます。この戦略により、ラボ機器がその寿命全体を通して、潜在的な性能を最大限に発揮できるようになります。機器が耐用年数に達したとしても、単に廃棄されるわけではありません。修理、再利用、整備、再製造を通して、機器やその部品として再利用できるようにします。

Refurb Instruments

最終的に、機器の整備や再製造がそれ以上は不可能になった場合でも、リサイクルを行うことにより、その部品を、新たな製品を生み出すために新たな用途で役立てられるようになります。この循環プロセスにより、ラボ機器の耐用年数を延ばし、科学研究に対するより持続可能で責任あるアプローチを促進できます。


循環経済は、メーカーが新たな資源の必要性を削減しようと、耐久性のある、効率的で、修理やアップグレードが容易な製品を製造するために機器の設計をする段階から始まっています。同様に、機器プロバイダは、廃棄物を最小限に抑えて効率を向上させるために、製造プロセスを見直し続けています。このことが、資源利用の最適化、より環境に配慮した材料の使用、エネルギー消費の抑制に貢献しています。また、メーカーはエンドユーザーと協力して、機器のメンテナンスと修理を行うことにより、最適な性能を確保し、ライフサイクルを延長することができます。

しかし、こういった新しい取り組みの多くはごく最近のものであり、世界中のラボで実際に稼働していたり、空き部屋、収納庫、荷物の積み下ろし場などで使用されずに放置されていたりする、何千台もの旧式の機器に直接影響を与えることはできません。そこで、このような機器に対して循環経済の原則を適用したいという願いが、整備済機器や中古機器の市場の成長につながっています。

中古自動車が、別の持ち主の手に渡って新たに活用されるようになるのと同様に、中古分析機器も、新技術を導入するための予算が限られていたり、既存の機器の冗長性や能力を向上させようとしていたり、新たに製造される機器に予算を費やさずに既存の技術をアップグレードしようとしていたりするラボにおいて、再利用できるようになります。購入者は、さらに中古機器のコストも埋め合わせるために、現在使用している機器を製造しているメーカーに連絡を取り、下取りプログラムや買取りプログラムを利用できるかどうかを確認することができます。

Refurb Instruments

中古自動車と同様に、中古分析機器もすべて同等の作りになっているとは限りません。再販業者は、品質と信頼性を保証するために、その機器が新品同様に動作し、当初の仕様に適合していることを認定する必要があります。




多くの場合、これを確実に実現するための最善の方法は、メーカーと協力することです。なぜなら、メーカーは元の部品や最新のソフトウェアに完全にアクセスすることができ、互換性がある部品や新しい規格にアップグレード可能な部品を最もよく把握しているうえに、これらの機器に関するトレーニングを受けた、場合によっては設計を担当した社内のエキスパートが、整備や再生を行うことを保証できるためです。設置や導入に関するトレーニングも、メーカーのトレーニングを受けたエンジニアが実施する必要があります。そうすることにより、機器の再利用時の寿命を可能な限り延長することができます。

中古機器の魅力をさらに高めるために、メーカーや再販業者の中には、新品機器と同様のサービス、サポート、保証を提供することにより、後に問題が発生した場合に、ラボがダウンタイムを最小限に抑えることができるようにしているところもあります。

Refurb Instruments

持続可能性の促進

中古プラットフォームは、新しい機器の製造に必要な新しい材料の需要の削減を後押しすることにより、このようなシステムを構築するのに必要な天然資源の枯渇を減らすのに役に立ちます。さらに、リサイクル部品を使用した整備は、一般的に、原材料を移動して部品を製造し、その部品から新しい機器を組み立てるよりも、必要なエネルギーがより少なくて済みます。整備済機器には、エネルギーや資源の需要を削減しながら、運用効率の向上に役立つ新しい部品が含まれている場合もあり、これは水道光熱費等の削減にもつながります。機器のこのような特長は、ラボの環境への負荷の大幅な削減につながります。

手頃な認定整備済機器や整備済機器の経済的なメリットは、ラボが限られた財源を、ラボ運用の他の分野での持続可能性の向上といった他の取り組みに割り当てられるようにすることで、環境面でのメリットももたらす可能性があります。また、比較的低価格であるため、ラボはより多くの機能を備えた、または分析アプリケーションにより適した新品同様の機器を購入することもできます。そのため、試薬や消耗品の使用量を削減すると同時に、データ生成を改善するために、社内で実施できる試験の幅を広げたり、実験計画を最適化したりする機会が得られます。

あらゆる科学分野におけるイノベーションへの要求や必要性が高まる一方で、そのようなイノベーションを実現するための経済的および環境的コストに対する意識も高まっています。あらゆる種類や規模のラボに、さまざまな取り組みを通してこのようなコストを削減する機会がありますが、その 1 つが、ラボ機器の購入、使用、メンテナンス、廃棄に対して循環経済のアプローチを適用することです。

ラボは、買取りプログラムへの参加、中古機器の整備やアップグレード、部品のリサイクルを通して機器の寿命を延長することにより、限られた資源をより効率的に活用し、他の研究ラボの手頃な価格での参入や拡張を促し、年間何千台もの機器を埋め立て地行きから守ることができます。また、埋め立て地が最終的な目的地であったとしても、限りある材料やまだ使用できる部品をリサイクルすることにより、整備済機器やその他の製品に再利用することができます。

用語の理解

中古機器を購入する際には、その機器の現在の動作状態を把握することが重要です。

  • 中古:最初の所有者ではないことを示していますがが、より詳細な情報があれば、その機器が新品時と同様に動作するかどうかを知ることが可能です。
  • 整備済:機器の部品が交換されていることを示しています。このステップには、より新しい規格を満たすためのハードウェアやソフトウェアのアップグレードが含まれている場合もあります。
  • 認定:中古機器を販売する企業が、不具合のある部品や磨耗した部品を交換し、場合によってはシステムをアップグレードしているだけではなく、その性能を確認し、多くの場合は新品同様の保証によって、その動作もサポートしていることを示しています。
  • リサイクル:機器が耐用年数に達した場合、メーカーは、ラボで機器を維持するためにまだ使用できる部品を回収したり、循環経済に導入する他の機器の整備や再生のためにリサイクルしたりすることができます。

アジレント認定整備済製品プログラムの詳細はこちらをご覧ください。