国連によれば、女性は現在、高等教育ではその人数が増加しているにもかかわらず、科学、技術、エンジニアリング、数学(STEM)分野での割合は低いままです。1,2


STEM 分野で働く女性に共通の現実

アジレントは国際的な企業として、STEM ベースの役割で活躍する世界中のお客様と連携しています。その中には、偉大な科学の実現に尽力している女性も大勢います。

この記事では、自身の専門分野に新境地を開こうと挑み続けるこれらの素晴らしい女性科学者たちを称えるとともに、その声を通じて、やりがいのある STEM 分野でキャリアを積むことについて、女児やあらゆる年齢の女性を応援しています。


科学研究の境界に挑んでいる女性たち




Photo of scientists in a lab over an Agilent machine

Leslie Weston 教授、FAA、植物生物学および天然物化学研究教授、チャールズスタート大学、オーストラリア


Weston 教授は 2023 年、植物とほかの植物、草食動物、土壌微生物との相互作用に関する画期的な研究により、オーストラリア科学アカデミー会員(FAA)に選出されました。

Weston 教授の研究対象には、農作物や家畜の保護のための持続可能な管理方法の開発、および雑草、害虫、病原体などの侵襲的な他の生物との競合に使用される植物のメカニズムの解明が含まれています。

Weston 教授が率いる研究者チームは、土壌、牧草、農作物、家畜の研究やアウトリーチに注力しており、オーストラリア政府の農林水産省、Grains Research and Development Corporation、Meat and Livestock Australia、オーストラリア研究会議、および業界に資金提供された研究プロジェクトなどを通じて、業界、農業システム、ランドケアグループと密接に連携しています。

最近のインタビューの中で Weston 教授は、「私の研究領域における STEM 分野、特に植物科学、植物生物学、農業生産において、上級指導者としての役職に女性がいないことに初めて気が付いたときに、STEM 分野の女性やキャリアの浅い研究者たちを支援することに強い関心をもつようになりました」と述べています。


Weston 教授は長年にわたり、多数のキャリアの浅い研究者たちを指導しており、農業研究や利害関係者へのアウトリーチにおいて指導的役割を担ってきました。今後も引き続き、農作物の保護と害虫の管理に関して、農業分野の発展に関与していくということです。



Yamin Wang、上級エンジニア、分析研究ラボ、Sinopec Petrochemical Research Institute、中国


Wang 氏の仕事の中心は、石油化学業界のさまざまなガスの分析です。5 つの国家プロジェクトと 20 の追加プロジェクトに貢献してきたほか、独自のガス組成分析メソッド 3 種類の開発、業界基準 2 つの策定、20 件以上の特許の公開など、Sinopec において多数の業績を上げています。

Wang 氏は、燃料水素品質保証システムの構築に献身的に取り組み、一連の基準を策定したほか、GB/T 37244「Fuel Gas for Proton Exchange Membrane Fuel Cell Vehicles」技術指標要件に適用可能なオンライン分析メソッドを開発しました。


一連のメソッドは、2022 年の北京冬季オリンピック競技大会で適用され、大会で使用される燃料電池自動車用の水素の品質保証と、高い社会的利益の達成において重要な役割を果たしました。

石油化学分野の研究者としての自身の経験を振り返り、Wang 氏は次のように述べています。「私には、多くの場合に女性特有とされる利点があるのかもしれません。それは、目的の達成を可能にする回復力です。このポジションに置かれたことで、長年にわたり蓄積してきた知識を活用しなければならないと感じています。知見を無駄にすることはできません」Wang 氏はさらに、「この分野の、特に若い女性に対し、いくつかの希望を持っています。女性の研究者たちが、仕事において彼女たち独自の特性をフルに活用できるよう望んでいます」と語りました。



Archana Thakur 博士、医学部准教授:血液/腫瘍学部、バージニア大学、米国


Thakur 博士はがん研究において、分野横断的なグループとの共同作業と連携に実績のある臨床研究者・臨床前研究者のチームを率いています。

がん患者治療の研究と支援に熱心に取り組む Thakur 博士は、研究、そして FDA 規制 cGMP ラボのために、早期開発とバリデーション調査を設計し、実施しています。

特に、同博士の研究の中心となっているのは、免疫抑制腫瘍微小環境を深く理解することです。この研究の結果、がん患者のための CAR-T 細胞療法における新しい免疫治療戦略の開発と効果が向上しています。


STEM 分野のキャリアに関心をもっている若い女性や女児へのアドバイスとして、Thakur 博士は次のように語っています。「科学者として道を歩む途中で挫折を経験することはめずらしいことではありません。『袋小路』に入り込むこともありますが、方向を変えて前進を続けているのです。大切なのは、引き返さざるを得ないときでも科学への情熱を追求し、進み続けることです」



Geórgia Labuto 博士、研究教授、サンパウロ連邦大学、ブラジル


Labuto 博士はサンパウロ連邦大学で、水質汚染と水資源に関する共同研究ネットワーク、HydroPoll をコーディネートしています。Labuto 博士はまた、国際水協会のメンバーでもあります。同協会は、総合的な環境分析、化学物質科学、持続可能性の技術における大学院プログラムと連結しています。

Labuto 博士は 25 人の学生と 4 人の研究者からなる学術グループを率いており、浄水と廃水処理に焦点を当てて環境に関する研究を行っています。

研究では特に、医薬品やマイクロプラスチックなど、水に含まれる新規汚染物質、バイオマス廃棄物を用いて水系溶媒から汚染物質や油を吸収するための吸着剤の開発、そしてバイオエコノミー、循環型経済、グリーンケミストリーの概念などを調査しています。

Labuto 博士は STEM 分野で若い女性や女児を触発することの重要性を強調し、次のように述べています。「女性科学者として、どのような役割にも就くことが可能であると若い世代に示すために、模範となって先頭に立つのは重要なことです。言葉によって人々を説得することはできますが、具体的な例は人々の心を引き付けます」



Tessa Moses 博士、メタボロミクス専門家および施設管理者、EdinOmics、エディンバラ大学


Moses 博士は、ベルギーのゲント大学でバイオテクノロジーの博士号を取得し、2017 年に博士号取得後の研究者としてエディンバラ大学に加わりました。同博士の研究は、サポニン生成のための酵母プラットフォームの開発と家庭用製品やパーソナルケア製品でのアプリケーションを中心としています。

Moses 博士は 2019 年、EdinOmics のメタボロミクス専門家および施設管理者に任命されました。EdinOmics はエディンバラ大学の研究施設で、定性・定量分析を対象にメタボロミクスおよびプロテオミクスサービスを提供するために自動化ワークフローを活用しています。



Moses 博士は長年にわたり、多数の合成生物学プロジェクトを対象に、メタボロミクスについての広範な知識と専門技能を特殊な低分子天然物の分析に応用してきました。

STEM 分野における女性の役割について、Moses 博士は次のようにコメントしています。「社会において私たちは日常的に進歩を遂げています。その多くは、正に STEM の原理に基づいています。したがって、女性、特に女性の教育が未だに問題となっている地域出身の女性に対し、STEM 分野でのキャリアを促すことは非常に重要です」

また、STEM 分野でのキャリアを検討している若い女性に対して、「質問することを決して恐れないでください。質問を恐れることは、知的好奇心を削ぐことなります。知的好奇心は必ず、想像もしなかったような進路へと導いてくれます」と、同博士はアドバイスしています。



若い世代への提唱


何年にもわたり、Weston 教授、Wang 氏、Thakur 博士、Labuto 博士、Moses 博士はそれぞれの分野で優れた業績を上げています。偉大な科学の実現に取り組むこれらのこれらの科学者を、アジレントはソリューションとサービスの広範なポートフォリオにより支援しています。5 名の科学者たちはこれからも引き続き、STEM 分野のジェンダーギャップを解消するために、同分野のキャリアの追求において若い世代、特に女性と女児の意欲を引き出し、勇気付けていくでしょう。



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  1. 科学における女性と女児の国際デー | 国連
  2. UNESCO 調査:女性科学者は未だジェンダーバイアスに直面 | UNESCO