医薬品およびパーソナルケア製品(PPCP)は、抗生物質、香水、化粧品、ホルモンのような処方薬、市販薬、動物用医薬品など、数千もの化学物質で構成されています。PPCP は、人間からの排泄、家庭および産業界から廃水処理施設への廃棄、農業の流出物、動物飼育場から水源へと浸出します。PPCP は分解されにくく、従来の水処理プロセスで取り除くことが困難なため、環境中に残留し、長期的に蓄積する可能性があります。低い ng/L レベルであっても、活性ホルモンは、ヒトや野生動物において内分泌かく乱の原因となることが明らかになっています。水中のこれらの化合物の混合物に対する亜慢性かつ低濃度の、長期的な曝露による毒性影響については、まだ分かっていません。このような不確実性により、多くの国では、十分な毒物学的データが収集されるまで運用可能なベースラインレベルを確立するために、水中の PPCP をモニタリングしています。
EPA などの機関や EU ウォーターフレームワーク指令では、特定の医薬品に対し、水供給システムをモニタリングする規制を提案しています。まだ規制されていませんが、US EPA メソッド 1694 は、固相抽出(SPE)に続く液体クロマトグラフィー/トリプル四重極質量分析計(LC/TQ)による、水中の PPCP の分析に対応しています。水系における PPCP の発生と成り行きを十分に調査するには、土壌、堆積物、固形廃棄物に含まれる PPCP の分析が必要になる可能性があります。これらのマトリックスでは成分への実際の干渉が増加しますが、低レベルで検出する必要があります。さらに、モニタリングの対象となる新しい分解生成物や代謝物とともに、新しい PPCP が順次、確認されており、分析メソッドはサンプル中の汚染物質をできるだけ多く同定し、定量できなければなりません。これらの課題を考慮すると、サンプルを十分に特性解析するためには、ターゲットメソッドとノンターゲットメソッドの両方が必要です。
PPCP 分析アプリケーションに関する質問がある場合や、アジレントの担当者からの連絡をご希望の場合は、下記よりお問い合わせください。
コロラド大学、環境質量分析センターの Imma Ferrer 博士と Michael Thurman 博士による、低 ng/L レベルで廃水、表流水、地下水に含まれる医薬品、ホルモン、代謝物のモニタリング方法をご覧ください。
JetStream テクノロジを搭載した Agilent LC/TQ システムを使用して、EPA メソッド 1694 に基づき、廃水流出物に対する堅牢性と再現性に優れた超高感度 PPCP 分析を実現しました。MRM とラピッドレゾリューションの組み合わせにより、より少ない注入回数で、分析時間がほぼ 70 % 短縮されました。
ppt レベルで水中の複数の PPCP を正確にスクリーニングし、定量するためのメソッド。このメソッドはシンプルかつ迅速で、SPE などの時間を要する成分濃縮を行いません。分析対象のほとんどの PPCP が直接注入で検出できます。
ターゲット化合物の定量と、サスペクト化合物のスクリーニングを、シームレスに同時実行します。広いダイナミックレンジ、高い質量分解能、高速取り込みに加え、十分に精査された MS/MS スペクトルとリテンションタイムにより、規制対象化合物の定量を効率的に実施できます。
お問い合わせページから、アジレントの担当者にご連絡いただくことができます。 さらにご登録いただくと、教育イベント、ウェビナー、製品など、環境分析アプリケーションに関連するアジレントの最新情報をお届けします。