MSの基礎 - 採取したスペクトルの評価

スペクトルを採取したら、そのスペクトルを解析する必要があります。この項では、以下のトピックについて解説します:

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責務 スペクトルの解析には、ライブラリ検索とスペクトルの解釈という2つの方法が用いられます。いずれの場合も、データ評価の実施は、質量分析計を使用する分析者(またはデータ判定者)の責任です。

ライブラリとの整合性を確認するだけの場合でも、すべての分析者がスペクトルを解釈する能力を持っているべきです。

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初期評価 2つのスペクトルを比較する場合、ライブラリスペクトル中でもっとも存在量の多いピークが、採取したスペクトル中に存在していると想定するといいでしょう。それぞれのピークは同じ相対存在量になるはずです。

  • m/z=194 両スペクトルの基準ピーク
  • m/z=109 両スペクトルでの相対存在量45%

また、ライブラリスペクトルと比較して、採取したスペクトルが十分な感度で測定されているか否かを判断する必要もあります。

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ライブラリ検索 ライブラリ検索では、コンピュータを用いて、採取したスペクトルとスペクトルデータベースをピークマッチングにより適合させます。これは総当り的な手法で、スペクトルの質量電荷比とその相対存在量という利用可能な2つの変数のみを使用します。

コンピュータを用いたライブラリ検索は、膨大な化合物データベースから多くの可能性を消去する方法の1つです。コンピュータによる検索は、「正解」を保証するものではありません。

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スペクトルの解釈 質量スペクトルの解釈は、一連の規則を適用してパズルを解く知的作業です。スペクトルの解釈は化学者が行ないますが、その人の化学的知識や、分子を同定するためのフラグメンテーションに関する知識が基礎になります。

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対象化合物の分析 対象化合物の分析は、特定の化合物の有無を調べたり、定量したりするために行なわれるものです。そのために必要な条件は、定量可能な主要イオンが存在することで、これには多くの場合、基準ピークが用いられます。また、対象化合物の分析では、少なくとも2つのクオリファイイオンが必要です。これらは化合物を確認できる特異性をもとに選択されます。


技術の習得 質量分析計の操作者やデータ判定者には、データの整合性を評価する責任があります。質量スペクトルの解釈に精通するためには、実際の経験が必要です。


まとめ 質の高いスペクトルを得るためには、多くの質量分析計パラメータを調整する必要があります。分析者またはデータ判定者には、質量分析結果の質の高さを確保する責任があります。

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