質量分析法の主なハードウェアコンポーネントは以下のとおりです: 質量分析計
真空システム 質量分析計を効率的に作動させるだけの真空を達成するには、一般に2台のポンプが必要です。高真空ポンプの排気口に低真空ポンプを接続することで、高真空状態が得られます。 一般に用いられるポンプの組み合わせは以下のとおりです:
電場および磁場に導かれて動く生成したイオンは、他の分子との衝突による力を受けないようにする必要があります。そのため質量分析法では、イオン化時から検出時までに生成したイオンが他の分子と衝突する機会をきわめて低く抑えることのできる真空システムが必要とされます。荷電粒子の平均自由行程は一般に、イオン化から検出までの距離より大きくなります。 サンプル注入口 気体、液体、固体の化合物は、それぞれに応じて設計された注入口からイオン源に導入することができます。この過程は、サンプルの状態や質量分析計の真空システムに応じて、さまざまな方法で行なうことができます。 一般的なサンプル法は以下のとおりです:
いずれの場合も、イオン源に入るときにはサンプルが気化されている必要があります。
イオン源 イオン源では、分子が先ずイオン化されその後フラグメンテーションのプロセスがあります。その後、生成したイオンは質量分離部に送られます。 電子イオン化(EI)の場合は、比較的エネルギーの高い電子(70 eV)が分析するサンプル分子と相互作用を起こします。これらの相互作用により、(主として)正イオンが生じます。イオン化されると、その分子イオンは正確に予測できるパターンでフラグメンテーションを起こします。EIは直接的なプロセスです。すなわち、分子と電子の間の相互作用により電子の持つ運動エネルギーの一部が電子エネルギーとして分子絵移動します。
化学イオン化(CI)の場合は、サンプルとキャリアガスに加えて、多量の試薬ガスをイオン化室に導入します。サンプルより試薬ガスのほうが多いことから、放出された電子の大部分は試薬ガス分子と衝突し、反応イオンを生成します。これらの反応イオンは、一次および二次あるいは三次反応プロセスのなかで平衡状態となります。そして、さまざまな形でサンプル分子とも反応し、サンプル由来のイオンを生成します。CIは、イオン生成に関わるエネルギーが低いことから、電子イオン化よりも「穏やか」なイオン化と言えます。CIではフラグメンテーションが少なくなることから、CIスペクトルでは通常、分子量関連イオンの存在量が多くなります。このため、CIはサンプル化合物の分子量推定によく用いられます。 質量分離部
検出器 検出器は、イオンを収集してカウントするために用いられます。空間で分離される飛行時間型、四重極型、イオントラップ型のいずれのアナライザを用いても、特定の質量電荷比を持つイオンのみが所定時間に検出されます。検出器内にイオンが入ると、信号が生成され、データシステムで表示されます。 これらのイオンの検出量を質量電荷比(m/z)の関数としてプロットしたものが質量スペクトルです。
データシステム
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