Absolutely RNA FFPE (ホルマリン固定パラフィン包埋)キット
掲載の製品はすべて試験研究用です。診断目的にご利用いただくことはできません。
アジレント(旧ストラタジーン)のAbsolutely RNA FFPEキットは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)されたサンプルから簡単に、しかも毒劇物を使わずにRNAを精製できます。さらに、ホルマリン固定のプロセスで生じるRNA分子に対する化学的な構造変化を最適に修復することにより、PCR可能なRNAを大量に回収することができます。本製品にはアジレント(旧ストラタジーン) QPCR Human Universal Reference RNA standard が含まれており、定量PCR実験の反応条件の評価や、実験間の比較を容易に行うことができます。特にFFPE組織を用いた実験では効率が大きく変動するため、このTotal RNAをコントロールとすることで、定量逆転写PCR(QRT-PCR)の有意義なデータを得ることができます。本製品には、脱パラフィンから精製RNAの溶出まで必要なすべての試薬が包装されており、別途試薬を購入する必要はありません。
ホルマリン固定パラフィン包埋組織はmRNA発現解析、DNAマイクロアレイ、QRT-PCRなどの分子遺伝学的解析に幅広く使用されています(1-14)。しかしながら、ホルマリン固定パラフィン包埋後に時間がたったサンプルからQRT-PCR解析に十分な量のRNAを単離することは困難です。また、サンプルの固定のプロセスでRNA分子が変性し、以降の実験への使用ができない場合もあります。Absolutely RNA FFPEキットではこれらの変性を修復し、ホルマリン固定パラフィン包埋組織からのRNA精製の確実性を向上させていますので、特に laser microdissection (LMD)によって得られたサンプルに適しています。また、本キットは競合他社のキットと比較し、QRT-PCR解析により適したRNAを回収することができます(表1)。
表1:QRT-PCRに適したRNAの回収=より高感度 Absolutely RNA FFPEキットで精製されたRNAはQRT-PCR解析可能なRNAをA社のキットと比較して多く回収することができますので、より高感度での解析が可能になります。Absolutely RNA FFPEキットおよびA社のキットにより得た100 ngのRNAに対して、2つの遺伝子でプローブを用いた1-step QRT-PCR(Brilliant QRT-PCR Master Mix, 1-Stepを使用)を行いました。その結果、Absolutely RNA FFPEキットで得たRNAでは、いずれの組織由来のRNAのいずれのターゲット遺伝子においても、より低いCt 値が得られました。
Absolutely RNA FFPEキットにより高純度のDNA-フリーRNAを抽出することが可能です。本キットは脱パラフィン処理とプロテイナーゼK消化後、ゲノムDNA除去のためのカラム上でのDNase処理を含む3段階で純粋なRNAを精製します。RNAの純度を検定するために、3つの組織(肝臓、結腸、腎臓)由来のサンプルのA260/A280比率を計測しました。その結果、いずれのサンプルでもA260/A280 比率は1.8以上で、RNA純度が高いことが示されました(表2)。さらに、A社のキットと比較し、アジレント(旧ストラタジーン)のAbsolutely RNA FFPEキットは3時間という短いプロテイナーゼK消化で、より多くのRNAを回収することができました(図1)。
Absolutely RNA FFPEキットはシンプルで確実、フェノール-フリーのプロトコールでパラフィン包理組切片からRNAを精製します。まず最初に組織断片をd-limoneneで脱パラフィン処理した後、エタノール‐ベースの溶液で洗浄します。次に切片をプロテイナーゼK消化して固定組織を可溶化し、核酸を溶液中に遊離させます。最後にRNAをAbsolutely RNAキットにより精製します。RNA精製のプロトコールでは、まずサンプルを強いタンパク変性剤(カオトロピック グアニジンチオシアン酸塩) を含むRNA Binding バッファーに懸濁し、RNaseによるRNA分解を阻害します。次に細胞残屑を除去するためにサンプルをマイクロ スピン カップで濾過し、さらにシリカ‐ベースのファイバーマトリックス スピン カップにアプライします。サンプル内の核酸はファイバーマトリックスに結合し、DNAはカラム上でのDNase I 処理により除去されます。固定されたRNAは不純物を除去するために洗浄され、トータルRNAは最終的に30 ulの容量で溶出されます。精製されたRNAはQRT-PCRによる遺伝子発現解析にご使用いただけます。
パラフィン包理組織では、厚みが同じ10ミクロンの切片であっても、組織の採取方法、組織の状態、固定方法、保存期間、保存状態等の違いにより、組織ブロック間で大きな個体差が生じることがあり、下流の解析において大きな差として現れる可能性もあります。この差を最小限にするために、アジレント(旧ストラタジーン)のAbsolutely RNA FFPEキットにはアジレント(旧ストラタジーン) QPCR Human Universal Reference RNA standard が含まれておりますので、QPCRの際にサンプル間のターゲット遺伝子の発現量を標準化するためにお使いいただけます。また、QPCR Human Universal Reference RNA を用いてQPCRの条件を最適化することで、貴重なパラフィン包理組織由来のRNAを無駄なく使用することができます。
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