GeneMorph II ランダム変異導入キット
掲載の製品はすべて試験研究用です。診断目的にご利用いただくことはできません。
GeneMorph II ランダム変異導入キットは、特別に開発されたDNAポリメラーゼであるMutazyme II DNAポリメラーゼを利用することで、PCRによる均一な変異導入を可能にしました。AとTにおける突然変異と、GとCの突然変異が同程度の頻度で生じるような、より均一な突然変異スペクトルが導入されるようになっています(図 1)。これによって、すべての種類のランダム突然変異を偏りなく導入することができ、タンパク質の構造と機能の関係に関与している重要なアミノ酸の探索が容易に行えます。また、Mutazyme II DNAポリメラーゼでは収量が向上しているため、クローニングやライブラリー構築がこれまでになく簡単にできるようになりました。
Error-prone PCRは、アミノ酸の変化をタンパク質に導入するためのランダムな突然変異導入法の1つです。Error-prone DNA ポリメラーゼと反応条件の最適化により、PCRによる増幅中に突然変異が意図的に導入されます。ランダムな突然変異を含むDNA配列を発現ベクターにクローニングし、変異体のライブラリーをスクリーニングしてタンパク質活性変化の解析がおこなわれます。Error-prone PCR法は一般的には Taq DNAポリメラーゼを用いますが、これはこの酵素に校正機能がなく、本来の性質としてerror-prone であるためです。1 突然変異が有用な頻度で起こるようにするためには、Mn2+を添加したり、dNTP濃度を不均衡にすることでTaq DNAポリメラーゼのエラー発生率を増加させます2,3 が、このような条件変更によって、PCR産物の収量が低下したり4 得られた突然変異のスペクトルに強い偏り(たとえばA とT に偏るなど)が生じる可能性もあります。3
Taq ポリメラーゼは error-prone 条件下ではG/CよりもA/Tに突然変異を生じる可能性が4倍高くなっています。このような突然変異の偏り(バイアス)により、得られるライブラリーが縮小されてしまいます。Mutazyme II DNAポリメラーゼ†は突然変異の偏りを最小限に抑えながらも有用な突然変異導入率が得られるよう新たに開発された酵素です (図 1)。従って、Mutazyme IIにより作製したライブラリーなら、ほかの酵素を用いて作製した場合と比較して、表現型の種類がさらに向上した質のよいライブラリーになることが期待されます。
GeneMorph II キットでは、同じ最適反応条件(一定濃度のMgCl2、バランスのとれたdNTP)で突然変異導入頻度を低、中、高と変えることができます。変更するパラメータはテンプレートDNA濃度だけで、均一の突然変異スペクトルを維持したまま幅広い範囲の突然変異頻度(PCR 1回につき0.1 から1.6%)を実現可能です。
GeneMorph II キットを使えば、目的に合わせて最適な突然変異導入頻度を選ぶことができます。構造-機能相関解析には、一般的に遺伝子1個あたりアミノ酸1個の変化(ヌクレオチドは1~2個)が望ましいとされています。タンパク質の分子進化(Directed evolution)研究では、遺伝子1個あたりアミノ酸1~4個の変化(ヌクレオチドでは2~7個の変化)が一般的には用いられています。5‐8 遺伝子1個あたり20箇所という高い突然変異頻度のライブラリーから活性の上昇したタンパク質が単離された例もあります。9
GeneMorph II Random Mutagenesis キットには、Mutazyme II DNA ポリメラーゼ、反応バッファー、dNTPおよびゲル・スタンダードと、PCRによるランダム突然変異導入に必要なものが全て含まれています。
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