BL21-CodonPlus -RIL & -RP Competent Cell:コドンバイアス修正用
掲載の製品はすべて試験研究用です。診断目的にご利用いただくことはできません。
最高の発現用宿主細胞
BL21 シリーズは、T7 RNAポリメラーゼによる発現系を使用した高レベルでのタンパク質発現用のコンピテント・セルで、タンパク質発現用の大腸菌として一般的に第一の選択肢となっています。BL21株は内在のタンパク質分解酵素を欠失しており、発現させたタンパク質の分解が抑制されています。
BL21株は E. coli B由来の菌株で、もともと Lon タンパク質分解酵素を欠損しており、また遺伝子操作により OmpTタンパク質分解酵素が欠損しています。他の E. coli 発現ホスト株では Lon タンパク質分解酵素および OmpT タンパク質分解酵素が内在するために、組み換えタンパク質を原型を保ったまま分離することが難しい場合があります。従って、BL21 株およびその派生株は、高レベルのタンパク質発現用としてデザインされ市販されている唯一の大腸菌株です。
レアコドンをもつタンパク質の産生に
大腸菌を用いた組み換えタンパク質の発現は、コドン使用頻度がホストの大腸菌におけるコドン使用頻度と異なる場合、困難になることがあります。大腸菌がほとんど使わないコドンを用いて組換えタンパク質を高レベルで強制的に発現させると、大腸菌内部のtRNAプールが枯渇することになります。この現象はコドンバイアスといわれています。組み換え遺伝子のmRNAからの翻訳が遅れ、タンパク質の変性やコドンの置換、誤ったアミノ酸の取り込みが起こり、タンパク質の機能的特性が損なわれてしまいます。コドンバイアスについては、E. coli できわめて稀なコドンであるアルギニンコドンAGA および AGGで最も詳しく報告されています。また、イソロイシンのコドン (AUA)、ロイシンのコドン (CUA)およびプロリンのコドン(CCC) も、大腸菌で産生されるタンパク質の量や質に影響することがわかっています。コドンバイアスを伴う組換え遺伝子の発現のためには、レアコドンのかわりに使用頻度の高い同義コドンで置き換えたり、真核細胞発現系に移す等の方法がありますが、時間と手間がかかります。
異種遺伝子の発現をレスキューする
コドンバイアス問題を解決するために、アジレント(旧ストラタジーン)は BL21-CodonPlus シリーズの菌株を作製しました。* これらの細胞は BL21-Gold 由来の細胞であり、稀にしか存在しないな E. coli のtRNA 遺伝子のコピーを追加で持っています。このような改変により、コドンの偏りが原因で従来の大腸菌ホストでは発現が困難または不可能であったタンパク質を、高レベルで発現することが可能です。
BL21-CodonPlus-RIL コンピテントセルには、argU、ileY、および leuW tRNA 遺伝子のコピーが追加されています。これらの遺伝子によりコードされたtRNAは、それぞれ AGA/AGG、AUA、および CUA コドンを認識します。このように tRNA 遺伝子が追加されたことで、AT‐リッチなゲノムを持つ生物由来のタンパク質発現におけるコドンバイアス問題を解決することができます。
GC‐リッチなゲノム由来の場合は、同じくレアコドンのアルギニンコドン (AGG/AGA) およびプロリンコドン (CCC) が、大腸菌によるタンパク質発現に対して影響を及ぼす可能性が高くなります。BL21-CodonPlus-RP 細胞には argU および proL tRNA のコピーが追加されており、AGG/AGA または CCC のいずれかのコドンによって制限される遺伝子の発現がレスキューされ、GC‐リッチなゲノム由来の配列からのタンパク質発現に最適です。
実験計画に最適の菌株を選択するには
BL21-CodonPlus コンピテントセルには6種類の派生株があり、Affinity pCAL ベクターおよび pET ベクターなどのT7 プロモーターを備えたベクターを用いて、さまざまなレベルでの発現調節が可能です。
BL21-CodonPlus(DE3)-RIL および BL21-CodonPlus(DE3)-RP コンピテントセルは、高レベルタンパク質発現用の汎用菌株であり、IPTGにより発現誘導が簡単に行えます。 BL21-CodonPlus-RIL および BL21-CodonPlus-RP 菌株は、CE6 バクテリオファージを用いることで、タンパク質発現をもっとも厳密に制御することが可能で、毒性が極めて高いタンパク質を発現させる場合に有効です。また、BL21-CodonPlus-RIL および BL21-CodonPlus -RP 菌株は、T7 RNA ポリメラーゼ以外のプロモーターをもつ発現ベクターを使用する場合に優れたホストとなります。 BL21-CodonPlus(DE3)-RIL-X および BL21-CodonPlus-RP-X 細胞はメチオニン栄養要求株ですので、X線結晶解析による構造解析に便利なメチオニン標識タンパク質の産生が可能です。
BL21-CodonPlus-RIL 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal endA Hte [argU ileY leuW Camr]*
BL21-CodonPlus(DE3)-RIL 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal λ(DE3) endA Hte [argU ileY leuW Camr]*
BL21-CodonPlus-RP 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal endA Hte [argU proL Camr]*
BL21-CodonPlus(DE3)-RP 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal λ(DE3) endA Hte [argU proL Camr]*
BL21-CodonPlus(DE3)-RIL-X 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal λ(DE3) endA Hte metA::Tn5(KanSr) [argU ileY leuW Camr]*
BL21-CodonPlus(DE3)-RP-X 菌株a: E. coli B F– ompT hsdS(rB– mB–) dcm+ Tetr gal λ(DE3) endA Hte metA::Tn5(KanSr) [argU proL Camr]*
a E. coli Bの派生株であるこの菌株は、一般的なタンパク質発現菌株であり、精製中にタンパク質を分解してしまうLon タンパク質分解酵素および OmpT タンパク質分解酵素を欠失しています。Dcm メチル化酵素は本来は E. coli Bでは欠失していますが、ゲノムに挿入してあります。
* 濃度> 40 mg/mlではクロラムフェニコール耐性がありますが、 100 mg/mlの濃度では感受性が認められています。
Codon usage:
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