リチウム鉱石の探査、採鉱、分析
リチウムは、露天鉱山または地下鉱山から採鉱された、スポジュメンを含む岩石、または地下貯留層のかん水に存在します。LIB の生産には、リチウム以外に Ni、Co、Mn、Cu、Ai、Fe などの鉱物も不可欠です。地質学者やエンジニアは、以下の目的で分析ツールを必要とします。
- 存在する元素の確認、特性解析、定量
- 採鉱プロセスの最適化による収量の最大化と廃棄物の最小化
- 廃棄物の組成、将来的な活用の可能性、環境への影響の分析
- 安全で環境に配慮した作業の実施
リチウムイオン電池(LIB)の原料を同定、抽出、処理するため、また鉱物、ポリマー、有機溶媒を精製するために、アジレントの分析機器が使用されています。優れた精度と堅牢性を兼ね備えたアジレントの分析機器は、要求の厳しい採鉱環境に最適です。使いやすいインタフェースが、安全で環境に配慮した作業を実現します。また、幅広い機器が用意されているため、さまざまな鉱物の分析に容易に対応できます。
リチウムは、露天鉱山または地下鉱山から採鉱された、スポジュメンを含む岩石、または地下貯留層のかん水に存在します。LIB の生産には、リチウム以外に Ni、Co、Mn、Cu、Ai、Fe などの鉱物も不可欠です。地質学者やエンジニアは、以下の目的で分析ツールを必要とします。
鉱物は、精製によって純度が高められ、使用に適した化学形態に変化します。この段階では、以下の目的に化学分析が使用されています。
採鉱のライフサイクルの段階 | 試験要件 | 推奨される分析法 / 機器 |
鉱物の探査 | 鉱床の特定後、地表および地表下の岩石またはかん水サンプル中に存在する元素の同定を確認し、特性解析を行う。 | 蛍光 X 線、FTIR、ICP-OES、ICP-MS、AAS |
鉱物の抽出性 | 鉱石から鉱物を容易に抽出して処理できる方法を確立し、複数の抽出法を評価する。 | X 線回折、ICP-OES、ICP-MS、AAS、FTIR |
鉱物の抽出性 | 鉱石から鉱物を容易に抽出して処理できる方法を確立し、複数の抽出法を評価する。 | X 線回折、ICP-OES、ICP-MS、AAS、FTIR |
環境アセスメント | 空気、水、および土壌の品質や現場の生物多様性への潜在的影響を調査する。 | ICP-MS、ICP-OES、FAAS、GC/MS、さまざまな微生物学的アッセイ |
採鉱現場および精製所の EH&S(環境・衛生・安全) | 収量をモニタリングし、作業廃棄物を最小化する。 ガスや塵をモニタリングして、鉱山労働者の安全を確保する。 廃棄物の流れをモニタリングして、環境コンプライアンスを確保し、廃棄物からの抽出がさらに可能かどうかを判断する。 |
GC、LC、UV-Vis、FAAS、MP-AES、ICP-OES、ICP-MS |
FAAS 製品ページ |
MP-AES 製品ページ |
ICP-OES 製品ページ |
ICP-MS 製品ページ |
|
測定可能な電池元素* | Li、Co、Ni、Mn、Mg、Al、Sn、Ta、V、その他 | Li、Co、Ni、Mn、Mg、Al、Sn、Ta、V、その他 | Li、Co、Ni、Mn、Mg、Al、Sn、Ta、V、その他 | Li、Co、Ni、Mn、Mg、Al、Sn、Ta、V、その他 |
価格の比較 | ¥ | ¥¥ | ¥¥¥ | ¥¥¥¥ |
サンプルあたりのコストの比較 | ¥¥ | ¥ | ¥¥ | ¥¥¥ |
感度の比較 | ++ | ++ | +++ | +++++ |
レビュー | SelectScience | SelectScience | SelectScience | SelectScience |
1 日あたりの最大サンプル数1 | 100~200(元素 6 種類) | 300~400(元素 10 種類) | 2000~2500(元素 50 種類以上) | 1200(元素 50 種類以上) |
測定のダイナミックレンジ2 | 100 ppb~1000 ppm | 100 ppb~1000 ppm | 10 ppb~10,000 ppm | < 1 ppt~1000 ppm |
必要サンプル量の比較 | ++ | +++ | ++ | ++ |
サンプル中の許容固体量の比較 | ++ | + | ++++ | +++ |
元素測定 | 逐次 | 逐次 | 同時 | 同時 |
測定可能な元素数 | 67 | 70 | 74 | 86 |
日常のメンテナンス要件の比較 | + | + | +++ | ++++ |
必要なオペレータスキルの比較 | 初級者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 |
自動化 | いいえ | はい | はい | はい |
* これらの元素は現在電池に使用されています。その他多くの元素を測定できます。
1.記載されているサンプル数を達成するには、ICP-OES および ICP-MS 機器にスイッチングバルブを取り付ける必要があります。
2.機器のみ(感度を高めるサンプル導入装置は未接続)のダイナミックレンジ。
この分析の手引きでは、鉱物の抽出および精製をサポートするために必要な分析システムについて紹介しています。
分析結果をすばやく得るため、また鉱床の収量を最大化するために、採鉱現場にラボを設置することがよくあります。アジレントのフレーム原子吸光分光分析(FAAS)機器は、サンプル中の元素を定量できる、信頼性の高いシンプルなシステムです。リチウムの探査にも利用できる低コストの分析機器として広く使用されています。
このアプリケーションノートでは、ペグマタイト鉱体でのリチウムの探査にAgilent 240FS AA 機器を使用することの利点をご確認いただけます。
現場で岩石および鉱物サンプルの組成をすばやく分析できます。サンプル前処理はほとんど、またはまったく必要ありません。Agilent ハンドヘルド FTIR に一体型の拡散反射サンプルインタフェースを装着したシステムは、地質サンプルの測定に最適です。
このアプリケーションノートでは、Agilent FTIR システムと蛍光 X 線(XRF)を使用して、どのような元素が存在するのか、それがどのように結合しているのかを調査する方法をご覧いただけます。
鉱物を豊富に含むかん水は、リチウムの主な採取源です。リチウムの収量を評価し、かん水の処理効率を最大化するうえで、その元素組成を評価することがきわめて重要になります。かん水は複雑なマトリックスであるため、原子吸光分析では分析が難しいことがあります。
このアプリケーションノートでは、マトリックス干渉を解消できる Agilent ICP-OES システムのハードウェアおよびソフトウェア機能について知ることができます。正確で高精度の結果がすばやく得られ、時間の無駄がありません。
ICP-OES は、リチウムイオン電池の主な材料である炭酸リチウムの品質管理にも使用されています。
このアプリケーションノートでは、バーティカルデュアルビュー(VDV)構成のAgilent 5800 ICP-OESにより、炭酸リチウム中の微量元素の正確かつ高精度の測定がいかに実現されるかをご覧いただけます。この分析は安定性が高く、わずかなメンテナンスで長時間にわたって実行することが可能です。
スポジュメンから抽出されたリチウムは、精製を経て炭酸リチウムと水酸化リチウムになります。処理は焙焼段階から始まり、続いて酸浸出、炭酸ナトリウムによる炭酸リチウムへの変換が行われます。次に、リチウム塩は加熱、ろ過、乾燥されます。かん水から抽出されたリチウムは蒸発池で濃縮された後、不要なホウ素とマグネシウムが除去されます。その後、炭酸リチウムに変換され、ろ過、洗浄、乾燥が行われます。
通常の石油化学ストリームは、LIB に必要となる高品質のポリマー、有機溶媒、さまざまな添加物へと姿を変えます。エチレン、プロピレン、LIB 固有のポリマー(ドーピングされたポリアセチレンやポリチオフェン、コーティングされた処理済みポリエステル(PET)など)、カーボネート溶媒、幅広い有機添加剤のすべてが、電池材料を製造するための原材料となります。
原料、中間体、および最終生成物を特性解析し、その品質と純度を評価するために、分析機器が活用されています。アジレントは、最高品質の材料をお客様の製品にご使用いただけるよう、最適なツールをご提案し、お届けします。地域、国、または国際レベルの規格はもちろんのこと、所有者や顧客が求める要件にも対応できます。
不純物は、高価値の触媒の働きを低下させ、生成されるポリマーの品質に悪影響をおよぼす可能性があります。不純物を検出して抑制すれば、コストの削減と収益の向上につながります。
このアプリケーションノートでは、Agilent GC システムとパルスド放電ヘリウムイオン化検出器(PDHID)を使用することで、いかに ASTM D8098 の基準を満たしながら貴重な触媒を保護できるかをご覧いただけます。このメソッドは感度、再現性、直線性に優れ、ポリマー産業のオレフィンメーカーのニーズを満たします。
エチレンやプロピレンの重合に用いられるメタロセン触媒は、アルシンやホスフィンなどの微量濃度の不純物によって容易に被毒されます。Agilent GC/MS アルシン/ホスフィンアナライザは堅牢性に優れ、ルーチンモニタリングに最適です。
このアプリケーションノートでは、ハードウェア、消耗品、およびソフトウェアが構成済みのシステムで、1 桁の ppb レベルのアルシンおよびホスフィンを高精度検出できる使いやすいメソッドがどのように実現されるかがわかります。
LIB に使用される精製化学物質中に金属不純物が存在すると、電池性能に悪影響がおよぶ可能性があります。そのため、電池メーカーは、カソードの製造原料となる化学物質中の不純物をできるだけ抑えなければなりません。優れた感度と干渉除去機能を備えた Agilent 8900 トリプル四重極 ICP-MS なら、メーカーが求める仕様を達成できます。
このアプリケーションノートでは、炭酸リチウムに含まれる不純物の微量分析の方法をご確認いただけます。
このビデオでは、ICP-OES を用いた鉱物原料の不純物試験によりリチウムイオン電池の性能と寿命、生産時の安全性を確保する方法を、アジレントのプロダクトマネージャである Elizabeth Kulikov 博士が説明します(41 分間)。
リチウムイオン電池のバリューチェーンのどの段階でも、存在する元素やその量を把握することが重要になります。鉱物の抽出、電池の製造に元素分析を活用すれば、規制項目に適合し、電池のリサイクルにも役立てることができます。
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