イオンポンプとコントローラ
VacIon Plus 300 L/s ポンプは、適度な占有スペースと重量で高い排気速度を実現します。超高真空/極高真空条件が不可欠なラボで使用されています。
ポンプのエレメントは 3 種類からお選びいただけます。ダイオードエレメントは、最大限の水素排気速度が重視される汎用 UHV/XHV アプリケーションに適しています。システムや大気へのリークの心配はほぼありません。StarCell エレメントは大量の希ガス(ノーブルダイオードより優れている)や水素(ダイオードと同等)を処理します。また、メタン、アルゴン、およびヘリウムの排気速度と排気容量は最高レベルです。ノーブルダイオードエレメントは、残留アルゴンやその他の希ガスの排気を必要とする汎用 UHV/XHV に適しています。
エレメントタイプ |
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フィードスルースタイル |
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ヒーター出力 |
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ヒーター電圧 |
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吸気口フランジ |
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最高ベーキング温度 |
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最大始動圧力 |
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動作寿命 |
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到達圧力 |
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重量(ポンプのみ) |
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ダイオードポンプは、正電荷を持つアノードリングエレメントと負電荷を持つチタン(Ti)カソードで構成されます。これらのアノードとカソードが磁場に浸漬されることで、電子が周囲の気体分子に衝突してプラズマになり、ポジティブイオンが発生します。軽イオン(H2/He)はカソードに向かって加速して Ti 層をとおり抜ける一方、重イオンはカソードに衝突してアノードリングの内側に Ti を弾き飛ばします。H2、N2、O などのゲッタリング可能なガスは Ti と反応して捕獲されます。これらのスパッタリング効果とゲッタリング効果が同時に起こることで、ダイオードイオンポンプの排気効果がもたらされます。
希ガス(アルゴン)はカソードで捕捉できないため、排気時にアノードの方向に反射させる必要があります。これらの原子を反射させる方法には、より重いカソード材料(チタン)を使用するか、異なる形状(トライオード)を使用するかの 2 つがあります。StarCell イオンポンプは、改良型のカソード形状をベースにアジレント(旧 Varian)が開発したものです。カソードの形状を星形にすることで、希ガスが高エネルギーの中性分子として反射する可能性が高まり、チタンカソードにより、XHV 範囲では残留ガスとみなされる H2 の高い排気速度が確保されます。
ポンプで発生するイオン電流は真空度に比例し、多くのアプリケーションでは、イオンポンプを走査電子顕微鏡(SEM)の場合と同様に真空ゲージとして使用できます。漏れ電流はイオン電流と重なるため、最小限に維持する必要があります。アジレントでは、空いている空間、鋭いエッジ、および金属ウィスカを低減することで漏れ電流を抑えるアノード設計の特許を取得しました。これらの予防措置が漏れ電流をきわめて低く保ち、望ましい圧力測定値を実現するうえで役立っています。