利便性と汎用性に優れた FTIR 測定を実現

減衰全反射(ATR, Attenuated Total Reflection)は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光分析の最も一般的なサンプリング手法です。ATR-FTIR は、液体、固体、粉末、半固形、ペーストなど、広範な種類のサンプルをすばやく簡単に測定可能です。ATR-FTIR の仕組み、さまざまな種類の ATR サンプリングアクセサリ、アプリケーションについて説明します。また、FTIR の基本事項の詳細については、FTIR 分光分析に関する FAQ および FTIR アプリケーションガイドをご覧いただけます。

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ATR-FTIR の仕組み

ATR 測定では、赤外光が結晶を通過し、結晶とサンプルの境界面で最低 1 回全反射して、反射光が FTIR 検出器に到達します。内部反射時に、赤外光の一部がサンプルに到達し、そこで吸収される場合があります。これをエバネッセント波と呼びます。サンプルに入射したエバネッセント波の侵入深さは、サンプルと ATR 結晶の屈折率の差で定義されます。異なるサンプルの種類や異なる光路長の要件に対応するために、屈折率が異なる複数の材料を ATR 結晶として使用します。



ATR-FTIR サンプル測定

液体またはペーストを分析する際には、ATR 液晶の上にサンプルを数滴置きます。測定を実行して完了したら、必要に応じて、軽質溶剤などを使用して結晶を拭き取りクリーニングできます。

粉末、薄膜、またはその他の固体サンプルを分析する際には、サンプルを ATR 結晶の上に置き、回転プレスを押し下げ、サンプルと結晶を最適な状態で接触させます。測定終了後はサンプルを回収できるため、少量または高価なサンプルに最適です。必要に応じて、軽質溶剤などを使用して結晶を拭き取りクリーニングできます。



ATR-FTIR サンプリングアクセサリ

多くの FTIR 分光光度計は ATR サンプリングステーションを備えており、アジレントのベンチトップおよびコンパクトな可搬型 FTIR 分光光度計にはすべて、ATR 機能が搭載されています。Agilent Cary 630 FTIR 分光光度計は多様な ATR 結晶に対応しており、サンプルに応じて即座に別の ATR 結晶に切り替えられる機能を備えています。

多くのアプリケーションにおいて、一回反射型のセレン化亜鉛(ZnSe)、ダイアモンド、ゲルマニウム(Ge)ATR アタッチメントを Cary 630 FTIR で使用できます。これらのアタッチメントはサンプリングプレスと組み合わせて使用するもので、固体材料、液体、ペースト、ゲルの分析に優れています。



ATR 結晶の種類

一回反射型測定では光線が ATR 結晶内を一度だけ反射します。一方、多重反射型 ATR 結晶には多重反射のために長い結晶が使用されています。これにより有効光路長が長くなり、感度が向上するため、優れた検出下限と迅速な分析が求められるアプリケーションに最適です。

1 回反射型 ZnSe、ダイヤモンド、Ge ATR アタッチメントのほか、人気の高い多重反射型 ZnSe ATR アタッチメントなど、幅広い ATR オプションがCary 630 FTIR 分光光度計向けに用意されています。各 ATR アタッチメントの詳細については、ATR 技術概要をダウンロードしてください。



ATR-FTIR アプリケーション例

ATR 分析は、手指除菌液の分析など、産業界や学術界における多様なアプリケーションで幅広く使用されています。アジレントは、ATR アタッチメントの使用方法を紹介し、他の使用可能なサンプリング手法と比較するアプリケーションノートを多数提供しています。現在入手可能なアプリケーションノートの概要は、Cary 630 ATR アタッチメント技術概要でご覧いただけます。

または、次のリンクから FTIR 分光分析アプリケーションノートのリストを参照できます。





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お客様の分析の課題に ATR-FTIR がどのように役立つかについて、アジレントの分光分析に関するエキスパートチームにお問い合わせください。

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