Agilent とバイオ医薬品のリーダーの協力による、
インドにおけるバイオシミラー特性解析の進歩

Ravindra Gudihal, アジレント市場開発アプリケーションサイエンティスト
Debdip Ghosh, アジレントバイオカラム製品スペシャリスト

全世界のバイオ医薬品企業は、市場競争力を維持し、厳しい規制項目に対応するために、分析部門の強化に着手しています。インドの市場では、バイオシミラーの製造が注目されています。バイオシミラーとは、治療用タンパク質分子の先発薬を複製したものです。使用するプロセスが異なるため、バイオシミラーは先発薬のタンパク質と完全な複製とは言えませんが、その効能は先発薬の分子と非常に似た効能があります。先発薬とバイオシミラー製品の間の類似性を示すため、LC、LC/MS、分光分析などのさまざまな分析技術の重要性と価値が高まっています。

インドにおけるバイオ医薬品の進化と拡大

アジレントは、インドのバイオ医薬品業界固有のニーズに対応するため、その最先端の場所であるバンガロールでバイオ医薬品ワークフローソリューションのためのワークショップを開き、バイオシミラーの特性解析を調査しました。このワークショップの目的は、アジレントのバイオ医薬品ワークフローソリューションを、バイオ医薬品の発見、開発、品質管理における特性解析に関与する顧客に紹介することでした。このイベントにはインドの新しいバイオ医薬品業界のリーダーが多数参加し、アジレントと業界の専門家が協力するための強固な基盤を構築することができました。

2 日間のワークショップの成果: 情報収集、アイデア共有、協業の機会の拡大

図 1. アジレントの Center of Excellence ラボ (左) と Market development Centre India (右) で開催されたバイオ医薬品ワークショップセッション

図 1. アジレントの Center of Excellence ラボ (左) と Market development Centre India (右) で開催されたバイオ医薬品ワークショップセッション

図 2. ワークショップ中のいくつかのワークフローのデモンストレーション結果は次のとおりです。(A) 電荷変異体の分析、(B) ADC のサイズ排除の分析、(C) mAb の逆相 LCMS の分析、(D) アジレントの DAR カリキュレータによる薬物抗体比の分析

図 2. ワークショップ中のいくつかのワークフローのデモンストレーション結果は次のとおりです。
(A) 電荷変異体の分析、(B) ADC のサイズ排除の分析、(C) mAb の逆相 LCMS の分析、(D) アジレントの DAR カリキュレータによる薬物抗体比の分析

25 名を超える代表者が 2 日間のワークショップに参加しました。その中には、参加企業からの研究開発の専門家、メソッド開発の科学者、ダウンストリームの科学者、QA/QC 分析者が含まれます。オープニングセッションに続いて、生体分子の特性解析に関するトピックのプレゼンテーションを実施しました。Q&A セッションによって、すべての参加者がアイデアや情報を共有することができました。生物製剤業界ではモノクローナル抗体 (mAb) が大きな市場シェアを占めるため、セッションの内容は主にタンパク質分子の特性解析に重点を置いたものでした。参加者は、ラボで実施される複数のアクティビティに参加しました (図 1)。ペプチドマッピング、凝集体分析、電荷変異体分析、インタクト分析のワークフローの例とアプリケーションも注目を集めていました。

Agilent 1290 Infinity II LC システムでのペプチドマッピングワークフローのデモ

タンパク質のペプチドマッピングの目的は配列の特定の確認であり、先発品とバイオシミラーの間の比較を示す非常に便利なメソッドの 1 つです。ワークショップではペプチドマッピングのデモンストレーションに、Agilent 1290 Infinity II LC システム (AdvanceBio ペプチドマッピングカラム付) と Agilent 6550 Accurate-Mass Q-TOF LC/MS (iFunnel 技術を搭載) の組み合わせで生成されたデータを使用しました。また、MassHunter BioConfirm ソフトウェアの独自機能 (配列のマッチングやジスルフィドマッピングなど) を使ったデータ分析も紹介しました (図 2)。

サイズ排除クロマトグラフィーによる優れた凝集体分析

凝集体分析は、タンパク質生物製剤の重要な品質特性 (CQA) です。サンプル中の凝集体の標準分析法は、サイズ排除クロマトグラフィー (SEC) です。ワークショップでは、新しく導入された Agilent AdvanceBio SEC カラムAgilent 1260 Infinity II BioInert LC システムによる mAb サンプル分析のライブデモを実施しました。

電荷変異体の分析ワークフローのデモから得られた考察

電荷変異体の分析は、mAbs のもう 1 つの CQA です。このワークフローには、イオン交換 (IEX) カラムを使って、塩析によるグラジエントまたは pH グラジエントによって電荷変異体を分離し、Agilent Bio-IEX カラムからさまざまな変異体を溶出させる手順が含まれます。分子中の電荷変異体は、保管または取り扱い中に、酸化や脱アミド化などの修飾によって発生する場合があります。

このワークショップでは、あるバイオシミラー mAbs からの電荷変異体のデモンストレーションを、Agilent 1290 Infinity II 2D-LC ソリューションを使って実施しました。イオン交換カラムは一次元目、逆相は 二次元目です。データは同じ分子の 2D-LC/MS で表示されます。タンパク質の電荷変異体分離の pH またはイオン強度のグラジエント生成に最適なツールは、Agilent Buffer Advisor ソフトウェアです。

インタクトまたはフラグメント分析に最適な LC/MS

インタクト分析には、さまざまな翻訳後修飾による、タンパク質分子 (mAbs) の分子量の確認が含まれます。LC/MS はこのような分析に最適です。mAb を例として使用した Agilent AdvanceBio 逆相/PLRP-S カラムと Q-TOF の組み合わせによるライブデモでは、ピーク形状と分解能の改善が見られました。質量分析には MassHunter BioConfirm ソフトウェアを使用しました。また、AdvanceBio N-glycan サンプル前処理キットによるグリカン分析のプレゼンテーションでは、mAb からのグリカンを分析しました。

インドのバイオ医薬品企業が直面する課題に関する主任教授の講演

ワークショップにおける協業の一環として、インド工科大学デリー校の Anurag Rathore 教授をゲストとして招聘し、講演していただきました。Rathore 教授はバイオ医薬品分野における高名な先駆者であり、バイオ医薬品関連プロセスにおいてクオリティ・バイ・デザイン (QbD) 原則を採用していることで有名です。講演の主要テーマは、mAbs の特性解析における、さまざまな生物物理学的手法の使用と QbD 原則の適用による、特性解析中のプロセスの強化です。Rathore 教授の講演は、インドにおけるバイオ医薬品の展望と、バイオシミラーの開発においてインドのバイオ医薬品企業が直面する課題を示すものでした。

アジレントの開催中のワークショップ、セミナー、情報共有への取り組み

最近のアジレントの業界のリーダーおよび顧客との協力体制への取り組みは、高く評価されています。参加者は、生体分子の分析に関するアジレントの包括的ワークフローソリューションについて、新しい考察と詳細情報を得ることができました。開催中のバイオ医薬品ワークショップでは、CE、CEMS、およびトラブルシューティング用機器などのトピックについて説明する予定です。アジレントの LCLC/MSQ-TOF ソリューションの全製品、および MassHunter ソフトウェアの詳細については、アジレントの担当者にお問い合わせください。