LC-ICP-MS による六価クロムの分析

LC-ICP-MS による六価クロムの分析

はじめに

Agilent ICP-MS に金属フリーのサンプルフローパスを備えた 1260 Infinity II バイオイナート LC を組合わせた LC-ICP-MS システムにより、LC で 6 価クロム (Cr(VI)) と 3 価クロム (Cr(III)) を分離し ICP-MS で定量分析することができます。

詳細説明

1260 Infinity II バイオイナート LC は、システムからの金属溶出が極端に抑えられていることから、ICP-MS と組み合わせた元素分析にも優れた性能を発揮します。元素分析では、元素の総量だけでなく毒性などの化学的特性に大きな影響を与える化学形態の分析の必要性が高まっています。一般的な例としては、環境サンプルに含まれるクロム総量に対する Cr (Ⅵ) と Cr (Ⅲ) の測定が挙げられます。同様の例としては、As (Ⅲ) とAs (Ⅴ)、Se (Ⅳ) と Se (Ⅵ) など、異なる酸化状態で安定して存在しうる元素の測定のようなアプリケーションに最適な LC です。

 

図1. Agilent LC-ICP-MS システム

 

クロム (Cr) はステンレススチールや他の合金に用いられ、耐食性めっきとして他のスチールや金属に混合され、顔料としても使われます。Cr は主に 3 価クロム (Cr (III)) と 6 価クロム (Cr (VI)) の酸化状態で存在します。Cr (III) は人体において必須の元素ですが、Cr (VI) は毒性が強く、発癌性物質であることが知られており、価数により特性が大きく異なります。よって Cr は、環境、食品、飲料水、薬品、日用品において厳しく規制されています。

 

図2. 1260 Infinity II バイオイナート

 

ICP-MS MassHunter ソフトウェアで ICP-MS および LC を一元コントロールすることができるため、シーケンスメソッドの作成が容易です。また、LC と ICP-MS は連動するので不意のシステムダウンでも自動的に安全に停止します。

 

図3. ICP-MS の MassHunter ソフトウェア

 

大気中の六価クロム LC-ICP-MS 分析

本システムで、標準品 0.1ppb (n=6) の再現性確認試験の %RSD = 4.6、0.05ppb から 5ppb の直線性 R = 1.0000 の測定が可能でした。

 

図4. ICP-MS の MassHunter での解析