従来のマルチ型の装置では測定が困難とされていた高マトリックスで高分解能を必要とする試料に対して、近年の革新的な開発によりシーケンシャル型に遜色のない定量値をマルチ型でも得られるようになりました。
それにより,マルチ型の特長であるコンパクト、操作が簡単、測定スピードが速いことに加え、高マトリックス耐性を実現し、共存元素の干渉影響を簡単かつ正確に補正することにより高分解能を Agilent 5110 ICP-OES が実現しました。
発光分光分析に特有のバックグラウンド補正についても、スペクトル線に近接するバックグラウンドの形状をソフトウェアが自動的に解析し、最適なバックグラウンド補正を実行します。それにより、分析者の違いによる補正位置の差や面倒な後解析が省略されるため作業効率が大幅に改善されました。
また、IntelliQuant 全波長スキャン機能により、従来のICP-OES分析の機能を拡張し、サンプルに含まれる最大70種類の元素の同定と、各元素の濃度の概算(半定量) を実現できます。
さらにシーケンシャル型でも分離の難しい高マトリックス試料中の微量元素分析に対して、最新のソフトウェア技術である高速自動カーブフィッティングテクニック(FACT:Fast Automated Curve-fitting Technique)により高精度にスペクトル分離することで分光干渉の影響を気にすることなく測定できるようになりました。
FACT・・・測定波長に重なる共存元素の干渉ピークに対して、共存元素の標準溶液を測定しそのピーク形状を認識させることで、干渉影響の度合いをソフトウェアが自動的に解析して、測定波長の実質ピークのみを算出するバックグラウンド補正法。
IntelliQuant は、従来の ICP-OES分析の機能を拡張し、サンプルに含まれる最大70種類の元素の同定と、各元素の濃度の概算 (半定量) を行うソフトウェア機能です。
指定した測定波長以外の全波長データを保存することができ、測定後でも解析波長を自由に追加/削除するとこができます。
通常の分析時間にわずか15秒追加するだけで、最大 70 種類の未知元素の同定と半定量が可能になります。
サンプルで検出された元素が一目でわかる周期表ヒートマップが搭載されています (図 1)。ヒートマップには、低濃度で存在する元素が黄色、中程度の濃度の元素がオレンジ色、高濃度の元素が赤色で示されます。濃度範囲はカスタマイズ可能です
サンプルの全波長スキャン (上) に加え、フルスキャンから選択した波長範囲の詳細なスペクトル(下)も表示されます。
詳細はこちらを参照ください。