ケーススタディ :加齢性疾患を予防する高栄養価食品の開発研究 - Steven Gross 博士

Steven Gross 博士
薬理学教授
質量分析中核施設ディレクタ

Weill Cornell Medical College
米国ニューヨーク州ニューヨーク
公式ウェブサイト

一酸化窒素の生物学的研究の最前線で

Weill Cornell Medical College の Steven Gross 博士はアジレントとのパートナーシップを通して、一酸化窒素 (NO) に関連する疾患とその治療、および生物医学的問題の調査を行っています。

NO は、血圧、神経シグナル伝達、宿主防衛など、多様な生理プロセスに影響を与える重要な細胞シグナル伝達分子です。Gross 博士は、NO 関連疾患の治療開発を見据えた NO シグナルパスウェイの解明と、生物医学的問題の解決に向けたメタボロミクスアプローチの適用に取り組んでいます。この研究は、新たな分子メカニズムおよび分子標的の特定と、関連遺伝子の効果など細胞内での NO の合成および作用のより深い解明への道筋となります。

Gross 博士による包括的な質量分析にもとづくメタボロミクスアプローチの適用は、細胞シグナル、代謝異常、がんおよび幹細胞生物学など、多様な生物医学的問題をより的確に解決するうえで役立っています。このアプローチには、幅広い質量に渡る高分離能分析が可能な Agilent Q-TOF 6500 シリーズ精密質量四重極飛行時間型 LC/MS が活用されています。

例えば、この研究により成果が期待される疾患として敗血症性ショックがあります。敗血症性ショックは、米国の ICU 患者の主な死因であり、毎年 250,000~350,000 名が罹患し、死亡率は 40~60 % におよぶと見積もられています。

Gross 博士と共同研究者らは、敗血症患者体内の LPS およびサイトカインによる誘導が有害なレベルの NO を生成し、これが血管拡張、血管虚脱、さらには死につながる可能性があることを示しました。現在、敗血症患者の NO 生成の抑制を目指し、さまざまな治療法の臨床研究が進められています。

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