ケーススタディ : 代謝物フラックス解析 - Stephan Hann 博士

Stephan Hann, Ph.D.
Analytical Chemist
University of Natural Resources and Life Sciences, Vienna

メタボロミクスの新規メソッド開発を支援するアジレントのソリューション

Stephan Hann 博士は生物を複雑な相互関係の観点から理解するための研究を推進しています。アジレントのソリューションは世界中の科学者の研究をサポートします。

Hann 博士は、University of Natural Resources and Life Sciences のメタボロミクス分析の責任者であり、また、Austrian Center of Industrial Biotechnology のコアメタボロミクス部門のリーダーでもあります。このセンターでは、博士を始めとする多くの科学者が世界最大の医薬品企業数社と協力しています。

研究グループの 1 つの目標は、代謝物を定量するための優れたメソッドを開発することです。

「我々と協力している生物工学分野のパートナーは、我々の結果を使用してプロセスを最適化することで生産性を上げ、製品の品質を向上しています。」と Hann 博士は述べています。

生物工学企業では、バイオ医薬品開発においてターゲットとされる複雑な組み換えタンパク質を製品として製造しています。Hann 博士ら、研究者は、バリデーション済みのメソッドを提供することで事業に貢献しています。

彼ら研究者は、アジレントの機器、特に Agilent 7200 Q-TOF システムを使用してメソッドを開発しています。GC/MS 専用に設計された世界初の Q-TOF であるこの機器は、高い感度と選択性に加えて、構造確認のための精密質量と高分離能情報を提供します。

「我々は新規の分離メソッド、新しい検出の概念、そしてデータ評価の新しい概念を公開しています。」と Hann 博士は語ります。

純粋な分析ケミストとして Hann 博士は、自らの研究を、世界規模の科学コミュニティで絶え間なく続けられている改善と最適化の一環と見なしています。

「課題の 1 つとして、より多くのサンプルを短時間で分析するために、時間の掛からないメソッドを開発することが挙げられます。」と博士は言います。

メタボロミクスは新しい科学ではありませんが、これまで注目されてきたゲノミクスやプロテオミクスと比べると、まだ研究は始まったばかりです。

「非常に多くの異なる化合物が研究対象ですが、メタボロミクス研究で用いるツールには、すべてをソフトウェアに入力し、そのソフトウェアによって最終的な結果を導き出すことができる高度なものはありません。」と Hann 博士は述べます。「いまだ多くの手作業が必要です。」

所属大学にはアジレントとの長い関わりがあり、アジレントが新しい分野の研究者のニーズに合わせてソフトウェアを最適化できるメリットがあり、それは非常に幸運なことである、と博士は語っています。

「メタボロミクスは、十数年前のプロテオミクスと同様に、非常に重要な研究分野として生まれた学問です。」と博士は言います。「現在のプロテオミクスのように、最終的には高機能のデータ評価ツールが開発されるものと私は確信しています。」

具体的には、アジレントは Hann 博士の代謝物フラックス分析、つまり生体系の代謝物の生成および消費速度を調べるために設計された実験技術の研究に寄与しています。

「我々は、GC/MS および LC/MS のメソッドを開発し、central carbon metabolism (CCM) の重要な代謝物を分析しています。」と Hann 博士は述べます。「我々は、LC/MS/MS と GC/MS/MS を使用してターゲット定量測定を行っており、さらに画期的な Agilent 7200 GC/Q-TOF MS を使用して対象代謝物の分布を測定しています。その結果、in vivo における代謝物の反応速度を測定できるようになります。」

「我々は、メタボロミクスに GC/Q-TOF を使用した最初のグループの 1 つであり、その結果に満足しています。他のラボに我々のメソッドを提供することもできます。どのラボでも我々と同じ結果が得られるはずです。」と博士は付け加えます。

「これはまだ新しい分野のため、未知物質が多く検出されます。誰にもこれらの細胞の本当の中身はわかっていません。異なるラボ間で同等のデータを取得できることを確認することが我々にとって真のマイルストーンでした。特に、我々が開発したメソッドと取得したデータが生物工学業界のプラスになることは特に喜ばしいことです。」

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