幸いなことに、Jackson 博士のラボにはアジレントの高感度な機器が設置されています。博士はアジレントの科学者と共同で、食品中のヒ素レベルを測定するための非常に有効なメソッドを開発しました。 |
「周期表中のさまざまな元素に対する Agilent 8800 ICP-QQQ 機器の感度の高さに非常に感銘を受けましたが、特にこの製品は、私たちが実施しているヒ素の調査に役立っています」と Jackson 博士は語っています。
「現在は、酸素をリアクションガスとして使用するリアクションセル技術によってヒ素を測定しています」と博士は説明しています。
8800 ICP-QQQ を、その独自の MS/MS 機能と共に使用すると、ヒ素はほぼ 100 % の効率で m/z 91 の AsO にマスシフトされ、バックグラウンドは大幅に低くなります。
「ヒ素のその他の一般的な干渉要因は、この新しい質量にマスシフトされません。そのため 8800 を使用したヒ素の測定は、より堅牢で、干渉を受けにくく、検出限界は低くなります」と Jackson 博士は述べています。
また、従来のコリジョンセル ICP-QQQ を使用すると問題が発生する可能性のある二価イオンが多く存在する場合でも、新しいメソッドでは正確な結果が得られることを指摘しています。
Jackson 博士は、Agilent 1260 LC システムをフロントエンドとして使用し、8800 ICP-QQQ を各分析対象物固有の検出器として使用しています。
「短いカラムを使用して、ヒ素のスペシエーションのための高速なクロマトグラフィーメソッドも開発しました」と述べています。「このメソッドで使用するのは、20 μL のサンプルのみですが、検出限界はそれでもかなり低くなっています (50 ng/L 未満)。新しい ICP-QQQ の設計の感度が高いためです。」
アメリカ食品医薬品局が設定した現行の規制では、リンゴジュース中の無機ヒ素を 10 ppb 未満となるように制限しています (ただしいくつかの消費者保護団体はさらに制限値を低くするよう求めています)。また、米および米製品中の無機ヒ素の含有レベルを制限するための規制も導入されようとしています。
「堅牢な手法を使用した検出限界の低い機器による、食品中のヒ素種のハイスループット分析が必要となることは明らかです」と Jacson 博士は述べています。「私たちはヒ素分析に対する 8800 ICP-QQQ の有効性を実証できたものと考えています。この製品は、食品検査を実施する分析ラボにとって貴重なツールとなるでしょう。」 |
自らを環境分析化学者であると評している Jackson 博士は、ヒ素化合物の分析時間を劇的に短縮した自分の新しいメソッドを積極的に採用して、他の微量元素にも適用しようとしていると語っています。
「それをベースとして、他の化学的に類似した元素を同じクロマトグラフィーによる分離に含めることで、環境中に存在する複数の微量元素への人体の曝露を評価するために適用できる、多元素用メソッドを開発する予定です。」
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