「異なる種類のセレンには異なる効果があるため、最も顕著な種類の特定やその代謝がセレンの種類毎に及ぼす変化の仕組みについて研究の対象になります」と Caruso博士は述べています。
養殖のテラピア魚も、新しい研究課題のひとつです。テラピアが、水銀、セレン、その両方にどのように影響を受けるのかを研究しています。
重要な問題は、「水銀とセレンの化合物を餌に添加した場合、毒性の低減に寄与することになるか」ということです。
グループでは、代謝後にセレンが集積する場所と水銀が集積する場所の特定も行っています。つまり、テラピアの可食部に存在する量と廃棄される部分に存在する量の特定です。
「様々な推測が可能だと思います。肝臓など、普段は食べない部分に水銀の集積がより顕著であるということになれば、毒性の影響についても状況は大きく違ってきます」
海洋食品の試験方法にも影響を及ぼすかもしれない、とも博士は述べています。魚の全身を切り刻んで試験するよりも、可食部だけを分析するほうがより有意義であるかもしれません。
グループの研究は、魚に対する試験方法だけでなく、育成方法にも影響を与える可能性もあります。 |
「給餌量を増やせば、成長速度は高まります」と Caruso 博士は指摘します。「成長を加速させれば、市場への供給速度も速まりますが、廃水量も増加します」
養殖業者が使用する可能性のある成長促進剤、特に廃水から流れ出るものについては、適切な処理が施されていないことが懸念されますが、同時に高窒素含有も予想されます。
コネチカット大学で行われている研究は、もちろん、より身体に良い方策を目指すものです。
Caruso 博士のグループのメンバーは、シンシナティ・クリスチャン・アカデミーと協力して、植物や魚類だけでなく、基本的なバクテリアなども含むアクアポニックス環境でテラピアを育成し、成長の多段階の追跡調査を行っていることにも博士は言及しています。
「魚は食べられます。植物も食べられます。たとえばケールなど、簡単に育てられる緑黄色野菜もあります。こうした食物から多くの知見を得ることができるのではないか、と考えています」と博士は述べています。
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