ケーススタディ : 問題の核心に迫る - Coral Barbas 博士

Coral Barbas 博士

Professor of Analytical Chemistry and Vice-Chancellor for Research Founder and Director of the Center for Metabolomics and Bioanalysis

Universidad CEU-San Pablo
Madrid, Spain

主な出版物

重要な代謝マーカーを研究する人々を支援する
アジレントのソリューション

メタボロミクス研究の進歩により、糖尿病、心臓病などの生命を脅かす現象について、重要な情報を得ることができます。実際に、メタボロミクス分野はいま注目を集めており、科学者たちはすでに、ゲノミクス分野単独では、期待されていた解決方法を実現できないことを認識しはじめています。

マドリードにあるメタボロミクス・バイオアナリシス研究センター (Center for Metabolomics and Bioanalysis) の創設者でディレクターである、Coral Barbas 博士は次のように述べています。

世界中の研究者たちが、アジレントの機材が装備された 私たちのメタボリックプロファイリングラボにサンプルを持ち込んできます。

代謝物は、遺伝子やタンパク質のように、ヒト生物学として知られる複雑なシステムの重要な構成要素であり、疾患の状態および治療に関する重要な手がかりとなります。実際、私たちのチームは最近、アテローム性動脈硬化症の治療方法を変える可能性のある代謝マーカーを発見しました。

しかし、そのような結果を得るためには、スタート地点として適切な疑問を持つことが重要になります。

私たちのチームは、仮説を立てず、標的を定めない実験を行いますが、標的を定めないことは焦点が定まっていないことを意味するものではありません。

 
「あらかじめ仮説を立てることなく作業しているため、私たちはサンプルを分析して結果を得ているだけだ、と思われる場合があるようです。けれども、回答がほしいと思うような適切な疑問を持つ必要があるのです」と Barbas 博士は述べています。

 

例えば、喘息を持っている被験者と持っていない他の被験者から、血漿のサンプルを採取する例を考えてみます。

「流行しているという理由でメタボロミクスを試してみたい科学者がいるかもしれませんが、何を見つけたいのでしょうか」と Barbas 博士は問いかけます。「喘息を診断する明確な方法はすでにあります。では、回答を得たいと思う疑問は何でしょうか。疾患の程度に応じて被験者を区分することでしょうか。治療の効果に応じて区分することでしょうか。」

つまり、疑問が明確に定義されているかによって、それ以降に何を得られるかが決まります。

「例えば、回答を得たいと思う疑問について、比較しようとしているグループの状況が一致していることは非常に重要です」と Barbas 博士は説明します。「1 つのグループが高齢者で構成され、別のグループが若年者で構成されている場合は、疾患ではなく年齢をマーカーとすることになるわけです」

 

適切な疑問と適切なサンプルがあれば、適切な装置が必要となります。メタボロミクス・バイオアナリシス研究センターにはそれが備わっています。すなわち、液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)、およびキャピラリー電気泳動/質量分析法(CE/MS)システムを含む、アジレントの多様な装置群です。

 

「ワークフローのさまざまな段階で数多くの試行錯誤がありますが、アジレントはたくさんの方法で手助けしてくれます」と Barbas 博士は述べています。「私たちは非常に良好な感度と精度を持つ非常に優れたツールを有しています。その信頼性がとても高いことも、きわめて重要です。そして、データ解析ソフトウェアもアジレントの最も優れたものの 1 つです。私たちが使用しているのは、MassHunter WorkstationMass Profiler Professional です。これらのプラットフォームの動作と、得られる結果には非常に満足しています」

そうした研究結果には影響力があります。

例えば、糖尿病と心血管疾患との関係について考えてみましょう。その関係性はよく知られています。

けれども、いまだに証明されていないことがあります。糖尿病ではない場合であっても、アテローム性動脈硬化症を持つ人はある種の基底インスリン抵抗性を持っていることをセンターは発見しました。

「複数の医療グループが強い興味を示しました。私たちが得た結果は現在、より大規模な研究で検証されています」と Barbas 博士は語っています。

この結果が実証されれば、センターの発見によって、アテローム性動脈硬化症の治療がインスリン抵抗性の治療と組み合わされて、よりよい成果が生まれる可能性があるのです。

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参考資料

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