概要
血液サンプルの取扱いの際には、血液サンプル中に含まれる PCR 阻害が気になりませんか?一般的な血液サンプルには、ヘモグロビン中のヘム分子、
EDTA やヘパリンなどの抗凝固剤など、多くの PCR 阻害物質が含まれます。そのため、血液をサンプルとした PCR を行う場合にはそれらの阻害物質
を除去するための面倒な DNA 抽出・精製ステップが不可欠でした。この操作は、DNA 抽出過程での DNA のロス、煩雑なステップによるサンプルの
取扱いミス、サンプル間のクロスコンタミネーションなど、人為的ミスの原因となりかねません。
SureDirect Blood PCR キットは、血液サンプルから DNA 抽出操作をせずに PCR 増幅が可能で、実験操作をシンプルにして効率化を図ることができ
ます。本キットでは、PCR 阻害に強く、優れた増幅性能という 2点にフォーカスして新規にクローニングされた変異導入型 Taq ポリメラーゼが採用
されています(図1参照)。SureDirect Blood PCR キットは、直接血液を用いて DNA 増幅が可能なので、時間と手間のかかる DNA 抽出プロセスを
省略し、プロトコールを簡素化することによって、実験時間の短縮やコンタミネーションなどの人為的ミスのリスク低減が期待できます。
SureDirect Blood PCR キットは、最高レベルのPCR阻害耐性
図 1. SureDirect Blood PCR キットは血液から直接増幅を行う他社製品と比べ、阻害の原因となるヘム分子、EDTA、ヘパリンに対し非常に優れた
耐性を持っています。
困難なターゲットでも増幅可能
優れた増幅性能と高い伸長性能で定評のあるアジレント社製 DNA ポリメラーゼ製品シリーズに新たに加わった SureDirect Blood PCR キットでは、
EDTA やヘパリンを含む血液をサンプルとしても 2.6 kb の長いアンプリコンの増幅、77% の GC コンテンツのテンプレートの増幅(図2参照)、
3つのターゲットのマルチプレックス PCR の成功(図3参照)が検証されています。本キットは、マスターミックス仕様の便利なキットで、EDTA/
ヘパリン血、凍結血液、濾紙上の乾燥血液、血清、血漿などからの直接に PCR 増幅反応を行うことができます。ヒト、イヌ、ネコ、ラット、マウス、
ブタなど多くの生物種の血液サンプルにおいてこの性能が検証されています。
高 GC ターゲットを強力に増幅
図 2. SureDirect Blood PCR キットにより、EDTA /ヘパリン血をサンプルとして GC 77 % の IGFBR ターゲット (251 bp) の増幅が確認でき
ました [左図]。乾燥血液ディスクから 3回増幅を行った GC 62 % の MN ターゲット (160bp) の結果から、サンプルの種類に対する新しいポリ
メラーゼの汎用性の高さが示されました [右図]。
3 つのターゲットのマルチプレックスPCRに成功
図 3. 濃度 2.5、5、10 % の EDTA 血 およびヘパリン血および、乾燥血液ディスクサンプルから、3つの遺伝子をターゲットにして同時に増幅
(マルチプレックス)を行いました。SureDirect Blood PCR キットでは非特異的な増幅は認められず、予想されるアンプリコンに相当する長さ
のバンドが3つ観察されており、3 つのターゲットすべての増幅が再現的に行えることを確認できました。
PCR 阻害に耐性
SureDirect Blood PCR キットは高い PCR 阻害に対する耐性が示され (図 1 参照)、大量の血液や血液製剤のサンプル数を PCR する際にも有用です。
最高レベルの PCR 阻害に対する耐性を示すので、血液より直接増幅を行う他社の同様の製品と比べて多量の血液サンプルを反応に使っても PCR 阻害
を受けず目的のターゲット配列の増幅可能なので、分析感度の向上が期待できます。血液媒介病原菌の DNA を増幅しようとする際にはより高い感度が
求められますので、SureDirect Blood PCR キットはこのアプリケーションを行う研究者に特にお勧めの製品です。