エキソソームは細胞間コミュニケーションにおいて主要な役割を果たしており、中でも体液中に含まれる細胞外小胞エクソソームに含まれるマイクロ RNA (miRNA) は、生体内の RNase による分解を免れ、細胞から細胞へ運搬されていることから、疾患の進行のメカニズム解明やバイオマーカーとして役立てられないか探索が進められています。
■アプリケーションノート
アジレント miRNA マイクロアレイおよびバイオアナライザを用いた exosomal miRNA の検出
筆者らは、市販のキットで抽出した健常人血清中のエクソソーム由来 RNA の分析を、バイオアナライザ、リアルタイム PCR、Agilent Human miRNA マイクロアレイで分析しました。GeneSpring GX などを用いた解析により、同一抽出キットを用いた場合に同一人物由来 RNA のデータが再現性良く取得されたことが示されました。また、抽出キットによるデータの違いも示されました。
アジレントmiRNAマイクロアレイを用いたexosomal miRNAの発現差解析
このアプリケーションノートでは、マイクロアレイでの解析に必要な血清量の検証を行い、さらに市販の肺癌患者および健常者の血清からエクソソーム由来RNAを抽出しマイクロアレイでの発現差解析を行いました。その結果、血清量に応じてマイクロアレイのシグナル強度が変化すること、バイオロジカルな発現差解析が可能なことなどが示されました。
■論文情報
論文報告では、miRNA がエキソソームに包まれ RNA 分解から守られており、循環している血漿や血清から常に検出されることが示されています。筆者らは、様々な培養がん細胞サンプルのエキソソーム、細胞、培地から RNA を抽出し、Agilent Human miRNA マイクロアレイにてプロファイリングを行い、GeneSpring GX によりデータ解析を行った結果を報告しました(癌の高転移株ではエキソソームを介して let-7 miRNA family が細胞外に分泌され、自己の腫瘍形成能を維持している可能性があります)