分析で使用する各種ガスの汚染は、分析に重大な影響を与えることがあります。ガス中に水分 (図1)、酸素 (図 2)、炭化水素 (図 3) が存在すると、GC分析において感度の低下や分析精度の低下につながり、カラムの寿命を縮める原因にもなります。また、GCキャリアガス内の不純物はライナのガラスウールを活性化し、セプタムの劣化を早めます。そのため、バックグラウンドシグナルの増大やゴーストピークが生じ、時間のかかるトラブルシューティングが必要になることがあります。ICP-OES や ICP-MS に供給されるガスに酸素が含まれていると、プラズマのシャットダウンや感度の低下につながります。また、TOC アナライザに供給されるガスに二酸化炭素が含まれていると、ベースラインが上昇し、感度や精度が損なわれます。
ガスの汚染は、ガスラインのあらゆる部分で生じる可能性があります。そのため、最高品質のガスを使っている場合でも、ガスフィルタシステムを取り付けることが必要です。ガスライン中の不純物により品質が低下してしまえば、高価な高純度ガスを購入しても無駄になってしまいます。
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すべてのガスに適したフィルタ
アジレントは、最高 20 L/min の流速に対応可能な High Flow Connection Unit (高流速接続ユニット) を販売しています。コリジョンガスアプリケーションや、ICP や ICP-MS へのガス供給など、高流速が求められるあらゆるアプリケーションに対応できるので、実行できるアプリケーションの幅が広がります。10 L/min 以上の大量の流速が求められる分析において、安価なガスを使用する際に汚染物質を除去することで、分析コストを削減することができます。すべてのアジレントのガスフィルタは、高流速および標準接続ユニットに対応しています。
ガスフィルタを使えば、すべての GC アプリケーションで効果が得られます。GC が FID や MS に接続している場合でも、炎光光度、熱伝導、電子捕捉、窒素リン、熱イオンといった他の検出器に接続している場合でも効果を発揮します。表 1 は、ガスフィルタにより分析ガスをクリーンにすることで得られる利点を示しています。
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機器の迅速な安定化によるガス消費量の削減
Agilent GC/MS フィルタは、機器の安定化時間を短縮するので (図 4)、キャリアガス消費量が少なくなります。この単一のコンビネーションフィルタは、GC/MS キャリアガスから酸素、水分、炭化水素を除去できるように最適化されています。GC/MS 感度を高めることで、データの精度を高め、カラムの損傷を防ぎ、機器のダウンタイムを短縮します。
ガスクリーンフィルタの使用でコストを削減
Agilent Gas Clean Filter System を使えば、高価な 99.999 % (ファイブナイン) または 99.9999 % (シックスナイン) グレードのヘリウムの代わりに、99.996 % (フォーナイン) グレードの純ヘリウムを使用しても、高品質の分析データを得ることができます。図 5 では、フォーナイングレード とファイブナイングレードのヘリウムを使用した場合のキャリアガス費用を比較しています。見込まれるコスト削減幅は 30 % です。
フィルタシステムと フォーナイングレードヘリウムを組み合わせれば、酸素や水分の混入という点で、シックスナイングレードヘリウムを用いた場合と同等以上の品質のガスを GC や GC/MS に供給することができます。これにより、品質の高いヘリウムを使う場合よりも費用を大幅に節約できます。
Agilent Gas Clean Filter System を使えば、クリーンなガスを供給することで、カラム損傷や感度の低下、機器ダウンタイムのリスクを小さくし、コストを削減することができます。アジレントのガスクリーンシステムの詳細については、こちらをご覧ください。