医薬品開発における安全性評価の効率化に資することを目的とし、トキシコゲノミクスプロジェクト(TGP1)は医薬品中心の150化合物についてラット肝・腎、ラット一次培養肝細胞、ヒト凍結肝細胞の遺伝子発現および古典的毒性データを取得し、 データベースを構築した。トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)の目的は(1)医薬品の安全性予測に資する安全性バイオマーカーの開発、(2)種 差の壁を越えるヒトの副作用予測性の向上、(3)安全性評価におけるゲノミクスデータの応用である。
医薬品の安全性予測に資する安全性バイオマーカーの開発及び種差の壁を越えるヒトの副作用予測性の向上に適用できる非侵襲的に採取可能な血漿を用いて、種々の肝障害惹起モデルの血漿サンプル中のmiRNAを測定し、miRNAの肝障害予測/診断マーカーとしての有用性を検討した。
医薬品安全性評価におけるゲノミクスデータの応用においては、少なくとも参加企業内ではデータの互換性・再現性が担保されていなければならず、将来的にレギュラトリーサイエンスに応用することを考えた場合、異なる施設、プラットホーム、プロトコールなどのデータへの影響を検討することは必須である。TGP2ではまず施設間バリデーションを行い、参加企業において取得したデータを比較したところ、非常に良好な互換性が得られた。
本シンポジウムでは、これらの目的へのTGP2のアプローチについてデータとともに概説する。