GC インターフェースは、Agilent 7890 と 6890 のガスクロマトグラフィ装置用に設計されています。インターフェースのハードウェアは、トーチアダプタ、加熱式インジェクタ付きの取り外し可能な GC用 トーチ、および GC と Agilent 7700 (および 7500) シリーズ ICP-MS を接続する新しい加熱式トランスファーラインで構成されます。
フルプログラム可能な Agilent 7890 GC は、カラム、バルブ、特殊な注入口を複数必要とする、広範な温度での研究やルーチン分析に使用できます。
GC の分離は通常、LC の分離よりも信号のピークが非常に小さいため、ICP-MS がデータを短時間で収集できることが重要です。Agilent 7700 の新しい高速同時デュアルモード式検出器は、GC 信号に最適です。これは、以前の検出器の設計とは異なり、パルスモードの場合でもアナログモードの場合でも、極めて高速な応答を実現します (最小滞留時間が 100 μs 未満) 。
GC と ICP-MS との接続や取り外しは簡単です。GC のカラムが、柔軟なトランスファーライン内を通って ICP のトーチインジェクタチューブ内のプラズマの直前まで配管されます。このため、分離後の物質が、加熱したアルゴンガス流によりプラズマに直接搬送されます。
GC のトランスファーラインは柔軟で、トーチの位置合わせと調整が容易です。GC のインターフェースを接続しても Agilent 7700 ソフトウェアがトーチの位置を自動で決めてくれます。トーチは、取り付けが容易となり高い信頼性を確保するように特別に設計されています。
トランスファーラインは必要に応じて最高温度 300 ℃で均一に加熱できるので、カラム内に低温部が発生しません。高沸点化合物の分析では、低温部 (特にトーチとの接続部) の発生を防ぐ必要があります。低温部があると、トランスファーラインの壁面で化合物が凝縮します。
ICP-MS の使用条件を最適化するためには、GC のキャリアガスライン (He) にキセノンを追加します。GC のインターフェース全体の温度は Agilent 7890 GC により正確に制御されるため、GC ICP-MS で以前存在していた制限の 1 つが克服されました。
Agilent 7700 シリーズ ICP-MS を GC の検出器として使用することにより、多同位体分析や多元素分析が高速で実行でき、多くの元素の検出下限が非常に低くなります。この手法の感度を図 1 に示します。カキ抽出物の有機スズ化合物を含む混合物のクロマトグラムと検出下限を示しています。
図 1. 有機スズ5ppbを含む標準液を 1 μL 注入した場合のクロマトグラム