電子衝撃 (EI) イオン化モードの 5977A シングル四重極ガスクロマトグラフィー/質量選択検出器 (GC/MSD) は、化合物の質量情報を測定するために使用されています。この際に生成される整数質量情報の精度は約 ± 0.5 Da です。これは、大部分の定性および定量アプリケーションにおいては十分な値です。
しかし、スペクトルライブラリ検索で、高いスコアの複数の化合物が結果として、リストされた場合など、化合物の同定における不確実性をさらに排除するために、より高い質量精度が求められることもあります。この不確実性を解消するため、アジレントは Cerno Biosciences と協力し、MassWorks™ 精密質量ソフトウェアと併用することで、Agilent 5977A シリーズ GC/MSD システムでの生成データに対する質量割り当ての精度を最大 100 倍に向上させました。
アハードウェアとソフトウェアを組み合わせたソリューションで飛躍的な精度向上を実現
MassWorks は、生スキャンモードのレポートで GC/MSD を使用して取得した整数質量データに基づいて精密質量と元素組成を計算することのできる、使いやすいソフトウェアパッケージです。しかし、それだけではありません。このパッケージは、それをさらに一歩進め、質量割り当ての確実性を高めるとともに、分子またはフラグメントイオンについて実証が可能な分子式の候補を提示することができる、革新的なソフトウェアアルゴリズムを採用しています。
図 1. 精密質量が割り当てられた PFTBA キャリブレーションイオン (C3F5) に対する MassWorks によるキャリブレーションの前 (黒) と後 (赤) の質量スペクトル
(図を拡大)
アジレント独自のキャリブレーション手法でデータ品質を改善
既に知られている理論上の質量スペクトル (MS) のピーク位置や各種同位体および同位体アバンダンスを基盤として使用し、以下のような独自の手法で計算を実行します
図 2. 質量スペクトル (赤) と正しい式 C10H14N2 で算出された理論上の質量スペクトル (青緑)を重ねて表示。実験初日 (上)、2 日後 (中)、1 週間後 (下)
(図を拡大)
結論: 信頼できる高品質のデータ
質の高いデータを手に入れることは、業界やアプリケーションを問わず重要な課題であり続けることは間違いありません。アジレントは、常にお客様の要件を超えるデータ品質を提供できるよう、今後も真摯に取り組んで参ります。Agilent 5977A GC/MSD の中核となっている技術は、アジレント独自の加熱可能な金メッキ石英四重極です (図 2 参照)。その業界最高レベルの堅牢性、安定性、および再現性により、毎日繰り返し分析やスキャンを行うラボの業務において、精密質量データを生成する MassWorks の機能を最大限に高めるとともに、高いレベルの質量/スペクトル精度を継続的に実現するためのリキャリブレーションの必要性を最小限に抑えることができます。
Agilent 5977A GC/MSD と MassWorks™ ソフトウェアを併用するメリット
Agilent 5977A GC/MSD と MassWorks を組み合わせて使用することで、かつてない範囲と質の情報を分析から得ることができるようになります。これらは、手頃な価格で使いやすい一体型のパッケージで提供されています。化合物同定の信頼性の向上に、ぜひ、Agilent 5977A GC/MSD と MassWorks™ 精密質量ソフトウェアパッケージの導入をご検討ください。ご注文については、アジレントまたはアジレント販売店にお問い合わせください。